農地を活かし担い手を応援する 再生農地を若い農業者へ 岡山・総社市農業委員会

農委会自ら耕作放棄地解消

 岡山県の総社市農業委員会(川田嘉会長)が力を入れている耕作放棄地再生活動の取り組みを紹介する。

 総社市は、同県の南西部に位置し、市内中央を北から南に県の三大河川の一つである高梁川が流れている。かねて古代吉備王国の中心であった市南部には吉備平野が東西に広がり、吉備平野に帯状に市街地が連なっている。さらにその周辺には集落があり静かな田園地帯を形成している。
 主な農産物は稲作。高梁川の周辺ではブドウ栽培が昔から行われ、近年では山間地の傾斜地などを利用したモモの栽培も盛んに行われている。
 同市は、隣接する岡山市、倉敷市への交通網の整備により兼業化が進み、恒常的勤務による安定兼業農家が増加し、近年、一層兼業化が進み、担い手不足が深刻化している。
 農業委員会は耕作放棄地が増加するなか、かねてから耕作放棄地の再生活動に力を入れており、2016年度も農業委員、きびじ農業後継者クラブ、総社市耕作放棄地対策協議会と協力し、延べ60人で耕作放棄地対策協議会の所有する機械や農業委員などが所有する草刈機を持ち寄り、再生活動を行った。
 三須地区の農地(25アール)は、棘(いばら)や柳が生い茂り、草刈りだけでは再生できない状態となっていた。草刈りと焼却を行った後、重機やトラクターで抜根(ばっこん)、耕運を行った。
 また、久代地区の農地(約46アール)については、ブドウのハウスの跡地であるため、パイプなどの撤去を行いながら、人の背丈以上もある竹を2日間かけて除去し、重機を使って抜根、整地を行った。
 両地区とも再生後は、きびじ農業後継者クラブ員などにより、モモなどの作付けが予定されている。
 川田会長は「耕作放棄された農地をそのままにしておくわけにはいかない。農業委員会としても耕作放棄地の解消に向けて、再生した農地を若い農業後継者にも活用してもらえるよう草刈りなどを通じて地域農業の活性化に貢献できれば」と話してくれた。

写真上=農業委員会の耕作放棄地再生活動でよみがえった農地(三須地区)

写真下=農業委員が2日間かけて竹の除去作業などを行った(久代地区)