新生農委 農業委員・推進委員で班編成 鹿児島・いちき串木野市農業委員会

 昨年4月から新体制に移行した鹿児島県いちき串木野市農業委員会(池之上國義会長)は、農地利用最適化推進委員の選出母体ごとに、農業委員4人と推進委員1人の計5人ずつの三つの班を編制。月に1回開く「班会」で担い手への利用集積や耕作放棄地の解消に向けた方策を話し合い、活動内容は毎月の農業委員会総会で報告して全員で情報を共有している。
 同市は水稲と果樹、畜産などが盛んだが、農地の約8割が中山間地。ここ数年、山間部などの非農地判定を進めて耕作放棄地は39%から12%に減少したが、小区画圃場で棚田が多く、耕作放棄化しやすいため、基盤整備と担い手の育成・確保が大きな課題だ。
 新体制では農業委員が以前の15人(選挙10人、選任5人)から12人となり、ほぼ現状を維持。推進委員は「100ヘクタール当たり1人」の基準を基に、旧串木野市から2人、旧市来町から1人募集したが応募がなかったため、農業委員会が地域の事情に精通した「適任者」に就任を要請した。
 推進委員の就任を受け、7月の総会で班を設置。その場で前年の農地利用状況調査結果を地図で示し、現地も回って耕作放棄地の解消など取り組むべき課題を明確にして活動をスタートさせた。
 班会では、農地地図と航空写真を基に各自が状況を報告。少人数のため活発な意見が飛び交うという。そこで明らかになった課題箇所ごとに担当する農業委員を決めるが、農業委員の活動には推進委員が必ず同行し、協力して取り組む。
 班の活動結果は、班長(農業委員)が毎月の農業委員会総会で報告する。総会には推進委員も出席して意見を出してもらうため、各地の具体的な状況がわかる。芹ヶ野國男事務局長は「班活動が始まって1年。これから大きな成果が出てくると思う」と期待する。
 市全体を見る農業委員と、地域で個別に利用集積などを進める推進委員の役割分担があるが、池之上会長(78)は「両委員が協力して取り組むことで責任が明確になり、農業委員の意識も変わった」と話す。
 同市に2人いる女性農業委員の1人、木場由美子副会長(64)も「活動する農業委員会にしたくて委員に立候補した。推進委員の存在は大きく、頼りになる」と喜ぶ。

写真上=農地地図と航空写真を見ながら話し合う班会

写真下=池之上会長(左)と木場副会長