農地を活かし担い手を応援する 課題解決に体制を構築 群馬・渋川市農業委員会
群馬県の渋川市農業委員会(堀込俊一会長)は、2016年4月の新制度移行に伴い、農業委員が19人、農地利用最適化推進委員が42人となり、それまでの農業委員34人体制から大所帯となった。事務局は10人。農地100ヘクタールに1人が定数の上限となる推進委員を最大限設置し、合併前の市町村を4地区に分けバランス良く配置している。さらにその中で農業委員を交えた班を編成し、課題の共有や検討をしている。
一堂に会することが難しい推進委員は、各地区の7人から15人がそれぞれ4つの班に所属する。地区班長を中心に「地区情報会議」を3カ月に1回開催し、地域の農地利用の集積・集約、遊休農地対策、新規参入などについての意見交換や情報の共有を図っている。そこには地域の農業委員も参加して連携を図る体制を整えている。
さらに、各4地区の班長は地区情報会議の直後に開かれる農業委員会の月次総会へ出席して地区の活動を報告している。課題があれば地域へ持ち帰り、次回の会議で検討をする。2017年1月から班長の業務の軽減を図るため、副班長を設置して体制を強化した。
一方、昨年4月の推進委員の任命後は、各種研修会や勉強会、現地調査の事前研修、遊休農地・荒廃農地の把握方法の確認、非農地判定の調査、利用意向調査などを実施。農地の有効利用の意義・重要性を地域に伝えるため、それぞれ集落、地域で徹底的な話し合いを行い、地域が抱える課題を解決するための資質を培ってきた。
農業委員会として、各地区の意思統一を図るため、会長を中心とする運営委員が「農地利用の最適化に関する指針策定組織委員会」を設置。農業委員9人、推進委員の代表9人と事務局を加えて農業委員会全体で行動している。ここでまとめたものは、地区でも情報共有することで意思統一し、各地区の推進委員の行動を強化している。
例えば、月次総会で審議された相続関係の案件で非農家の農地については、農業委員によって地区情報会議で推進委員と情報を共有。現場を確認し、地域の担い手などにマッチングするため、地域に住む相続人であれば農地中間管理事業や貸借に関する説明を行うなど、遊休農地の発生防止と農地の有効利用へつなげている。
堀込会長は、「新制度が始まり1年経ったところだが、体制を整え機能してきた地域活動と、研修した効果を2年目へ反映させていきたい。本市は中山間地域が多く、どこの地区でも高齢化、後継者不足は共通の課題であり、遊休農地化させないためにがんばってくれているが、不在村地主も増え、遊休農地が増えつつあるのが現実。こういう人たちに対して地区の推進委員と農業委員が繰り返し話をしていくことしかない。地域の農地は地域で守っていく」と話す。2年目から取り組みを軌道に乗せていきたい考えだ。
写真(上)=堀込俊一会長
写真(中)=会議室で利用状況調査の準備をする推進委員
写真(下)=現場で遊休農地の判断を共有化する推進委員