農地を活かし担い手を応援する 継続的・きめ細かに農地を最適化 広島・世羅町農業委員会

 広島県世羅町は標高約400メートルの高原地域の昼夜の寒暖差を活かした米・大豆・アスパラガス・キャベツ・トマト・梨・ブドウなど多品目の農産物の盛んな農業の町である。今月、同町農業委員会は新体制(農業委員14人、農地利用最適化推進委員31人)に移行し、昨年度までの農地パトロールの成果を活かし、継続的できめ細かい農地利用の最適化を展開していく。

 同町農業委員会は2016年度に、農業委員27人と協力員13人体制の農地パトロール活動で、将来にわたり守り活かすべき農地を絞り込むため、再生利用が困難な荒廃農地(B分類)の判定作業に重点的に取り組んだ。
 農地パトロールで確認した耕作意思のないB分類荒廃農地のリスト化と、判断の難しい農地の再調査を行い、農業委員会総会で認めた1600筆(182ヘクタール)の所有者などに非農地通知の発送と法務局・町税部局などへの情報提供を行った。
 今後の農地パトロールは、昨年度の成果を踏まえ、再生利用が可能な荒廃農地(A分類荒廃農地51.9ヘクタール)の追跡や担い手への集積が見込まれる農地の掘り起こしのための利用意向の把握が重要となる。
 世羅町では昨年度、農地中間管理事業による担い手への集積面積が386.5ヘクタール(県内1位)。2014年度からの累計で466.4ヘクタールの実績があり、さらなる積み上げに向けて利用可能農地の所有者への濃密な掘り起こし活動が期待される。
 同町農業委員会は遊休農地の解消と、農業者育成につなげるため、2015年6月から、農地法3条の下限面積要件の運用を見直し、同町空き家バンク登録の空き家に付随している10アール未満の遊休農地に限り、1アールまで認める基準を設け、現在までに2件の許可を出している。
 堀田正登・前農業委員会会長(72)は「活かすべき農地を守るには、守り手となる農業者の確保が必要。移住者が農業を無理なく始め、将来の担い手に育つことを期待しています」と話す。
 事務局の浅倉智治係長は「新農業委員会における委員の役目をしっかり理解してもらい、地域に精通した45人の委員さんと事務局の連携を強くしていきたい」と話す。
 新生・世羅町農業委員会一丸となって優良農地を守り、意欲ある担い手が効率的に利用できる環境整備に取り組んでいく。
 人・農地プランは全町域型を含め、53地区で策定され、農地利用集積面積の1221ヘクタール(集積率36%)は県内トップレベルで、集落営農型法人(38法人、集積面積889ヘクタール)や農業参入法人(14法人)を含めた認定農業者(148経営体)などの担い手への集積が図られている。

写真上=農業委員による農地パトロール

写真下=定住予定者に耕作放棄地の復元についてアドバイスする前会長の堀田さん(左)