農地を活かし担い手を応援する 次世代へ農をつなぐ 秋田・横手市農業委員会

〜食農教育推進委員会を設置〜

 秋田県の横手市農業委員会(高瀬俊作会長)は、独自に「食農教育推進委員会」を設置。食農教育の推進のため、横手市や市教育委員会と連携しながら、毎年、農業体験学習や作文・図画コンクールを実施している。

 同市は、秋田県の県南地域に位置し、豊かな水と肥沃な土壌により、国内有数の穀倉地帯を形成しており、経営耕地の約9割を水田が占める純農業地帯である。水稲以外にも、リンゴやブドウなどの果樹、畜産をはじめ、スイカやサトイモの産地化も進んでいる。
 同市は、旧横手市と平鹿郡の7町村が2005年10月に合併して誕生。農業委員46人(2017年7月時点)が活躍しているが、合併前から女性農業委員を多数選出している地域性もあり、現在では女性農業委員が5人在籍。積極的な女性登用が評価され、2011年度には「農山漁村男女共同参画活動表彰・組織における女性登用部門」で農林水産大臣賞を受賞している。
 農業委員会には、現在5つの専門委員会が設置されている。高瀬会長は「合併により農業委員は増えたが、一方で、受け持つ業務は増え、担当する地域は拡大した。個々が高い使命感をもって取り組んでもらえるように、専門委員会を設置して、濃密に活動してもらえるように工夫した」と話す。その一つが食農教育推進委員会(佐々木善一委員長)である。
 食農教育推進委員会(委員9人)では、食農教育の推進を担当。女性農業委員5人のうち3人が所属している。活動内容を検討する中で、子供たちに「食」について考える習慣を身につけてもらいたいと、市内の小学校5年生を対象に「横手食育見聞録作文・図画コンクール」を企画した。佐々木委員長は「農村地帯でありながら、農業委員会と教育委員会が連携した活動がなかった。食と農は地域の祭りや行事とも密接にかかわっており、小さいころから考える機会を設けたかった」と話す。
 合併直後から始めたコンクールも今年で12回目を迎える。昨年は、市内の小学校5年生から作文142点、図画253点の応募があった。食農教育推進委員のほか、学校の先生など専門家も交えて審査。最優秀賞2点(各部門1点)、優秀賞11点を選んだ。「最初は、農業の体験談などが多いかと思っていた。しかし、年々、深く、考えさせられる内容が多くなってきた。何げなく聞いていた子供たちの声が文字になると、より強く伝わってくる」と佐々木委員長は話す。
 コンクールの結果は、農業委員会だよりにも掲載。「コンクールは参加した子供たちだけでなく、いろいろ考える機会となっている。家庭でも、地域でも話題となる。予想以上に反響が大きく、地域での絆づくりの一助になっていることを痛感した」と佐々木委員長。
 食は生涯にわたって関わっていくものであり、農はそれと密接に関わり支えていくものだ。次世代に農を伝えていくためにも、その時代を担う人の声を聴き、活かしていく農業委員会の取り組みはこれからも重要となる。

写真上=佐々木委員長(左)と高瀬会長

写真下=横手食育見聞録作文・図画コンクールの審査会