農委活動の道しるべ(62) 耕作放棄地発生防止・解消活動のポイント (viii)集落営農組織による発生防止活動 明治大学名誉教授 井上 和衛

 耕作放棄地再生利用の取り組みに当たっては、どの地域でも「引き受け手をどうするか」「作物は何を植えるか」などが大きな悩みの種だ。
 こうした課題に応える地域農業の新しい担い手として、いま各地で存在感を高めているのが「集落営農組織」「JA出資型農業法人」「農業参入法人」で、耕作放棄地発生防止・解消活動で重要なポイントになってきている。
 そこで各組織の事例紹介として、まずは集落営農組織を取り上げよう。

事例5=山口県阿武町・農事組合法人「福の里」(2013年度(第6回)「全国農業会議所会長特別賞」受賞)
 同法人は2003年、同町の旧福賀村福田地区の5集落87戸が参加して設立された集落営農法人だ(2011年に新たに1集落が加わり、6集落99戸に広がった)。
 水稲と大豆を主体に106.9ヘクタール(利用権設定100.5ヘクタール、作業受託6.4ヘクタール)の経営を行っている。