農委活動の道しるべ(63) 耕作放棄地発生防止・解消活動のポイント (ix)JA出資型法人の取り組み 明治大学名誉教授 井上 和衛

 近年、全国各地で農協がミッション性(使命)を持ち、ビジネス手法で地域の課題解決に取り組んでいる。その優れた事例として、JA信州うえだが子会社として設立した「(有)信州うえだファーム」を紹介したい。

事例6=長野県・(有)信州うえだファーム(2016年度(第9回)「農林水産大臣賞」受賞)
 同JA管内の上小地区(上田市・東御市・長和町・青木町)では、標高差と小雨多照の気象条件を生かし、米、野菜、果実など多彩な農業が営まれている。だが深刻な担い手不足が進み、経営耕地が縮小したり、耕作放棄地が増えたりと、地域農業の衰退が懸念される状況となった。
 同JAは自ら地域農業を守るために、関係機関・団体(市町村・農業委員会・県地方事務所・農業改良普及センターなど)と連携し、2000年に地域農業の新しい担い手として、(有)信州うえだファームを立ち上げた。