新生農委 人・農地プランの策定と見直し 兵庫・南あわじ市農業委員会


兵庫県の南あわじ市農業委員会(竹田孝司会長)が「人・農地プラン」の策定と見直しに力を入れている。農業委員はプラン検討会のメンバーに入るなどして、地域の話し合いをリード。市内19地域が策定する原動力となった。策定後も月1回の会合を続ける集落もあり、この場をきっかけに地域の農地の受け皿となる集落営農組織を立ち上げる検討も始まった。
竹田会長(70)の地元の榎列小榎列(えなみこえなみ)集落は約1年間の話し合いを重ね、2015年12月にプランを策定した。表作の米に、裏作のレタス、タマネギ、ハクサイ、キャベツを組み合わせた三毛作が中心の地域農業を続け、優良農業地域を維持していくと確認した。
策定する中で、後継者不足が浮き彫りになった。平場で耕作条件にも恵まれた同集落は専業農家率が高い一方で、プラン策定前の全戸アンケートから、優良経営の認定農業者でも後継者がいないと分かった。高齢化も進み、年に1人はリタイア。空いた農地の受け手と期待される若い担い手は、作業時間のかかる野菜が経営の中心のため、規模拡大が難しいという手詰まりの状況にあった。
集落ではプラン策定後も話し合いを継続。検討委員の若手農業者を中心に月1回定期的に集まり、担い手の負担軽減や農地の集積を検討した。竹田会長もアドバイザーとして毎回参加した。こうして出てきたアイデアが集落営農組織だった。農機など生産コストのかかる水稲を集落営農がまとめて引き受けることで、担い手の負担を減らし、担い手が受けきれない農地の受け皿にもする考えだ。
竹田会長は「うちも夫婦だけでやっているからみんなの不安がよく分かる。集落の農地は集落で守らなければならない。そのためには集落営農組織が絶対に必要」と話す。
同農業委員会は8月1日に新体制へ移行し、農地利用最適化推進委員を含め18人の人員増となった。農業委員や推進委員はそれぞれの地元で話し合いの機運を高め、プランを広げる役割も担っていく。
竹田会長は「農地は10アール50万円でも売れずに、お荷物という意識の人もいる。担い手任せにせずに地域に応じた受け皿を用意しなくてはならない」とプランの浸透を急ぐ。
写真上=榎列小榎列集落は月1回の検討会を続ける
写真下=「地域で農業を支えたい」と竹田会長