農地を活かし担い手を応援する 新体制で業務にまい進 三重・四日市市農業委員会

 三重県では、7月19日に29市町中13市町の農業委員会が任期満了を迎え、新体制へと移行した。四日市市農業委員会(藤谷克彦会長)も同日に新体制へ移行し、農業委員19人、農地利用最適化推進委員37人を設置。移行前の農業委員数38人に対し、1.5倍増の56人体制で、農地利用最適化の推進に向けた取り組みを進めようとしている。

 同市は、三重県北部に位置し、総面積は206.44平方キロメートルで、全国有数の商工業都市として知られている。都市近郊の特性を生かした農業が営まれており、約6割を占める農業振興地域において米を主体に露地野菜やお茶などが生産されている。半面、開発による農地の減少が進む一方、高齢化などにより耕作放棄地の増加も懸念されている。
 このような中、同農業委員会では、半数となった農業委員を補佐し、市内全農地をカバーできるよう推進委員を定数上限の37人まで設置。24地区で農地面積に応じて1人から5人までの定数を定めた。
 1月から1カ月間の推薦・公募の結果、農業委員・推進委員とも定数より2人増となったため、あらかじめ定めた選考委員会の規定に基づき、職務への理解度など8項目(推進委員は5項目)について評価し、上位者から候補者を選考した。
 同農業委員会では、新制度移行前から下部組織として管内を北部・中部・南部の3ブロックに分けたブロック会議を設置し、毎月1回、農地法など法令業務に対し、事前審議を行っており、移行後もブロック会議は継続して実施している。
 ブロック会議は農業委員を中心に運営しているが、改正農業委員会法で推進委員は総会などで意見を述べることができるとされていることから、ブロック会議でも推進委員には必要に応じ意見を求めることができるようにし、より詳細な現場の情報を基に適正な法令業務が執行できるようにした。
 また、2012年度から農業委員会・市・JAの3者で「農地バンク制度」を立ち上げ、出し手農家からの農地情報を写真と地図付きの台帳に整備し、借り受け希望者へ紹介する取り組みも行っている。農地中間管理事業が農業振興地域内に限定される中、市街化区域も多く抱える同市では、推進委員を通じて本制度を活用した農地集積にも期待が寄せられる。
 同農業委員会事務局では、「開発が進む中、残された農地を地域ごとにどのように活用していくかが課題。新たな農業委員と推進委員が主体となって地域全体で考え直してもらえる体制を作りたい」と話している。
 藤谷会長も「農業を巡る環境が大きく変わる中、従来の法令業務に加え、農地利用の最適化の推進に向け、農業委員と推進委員が連携し進めていきたい」と今後を見据えている。 

写真上=藤谷会長

写真下=7月20日に開いた総会では農地利用の最適化に向け、農地中間管理事業への取り組みや荒廃農地対策など、本年度の活動計画などを協議した