農地を活かし担い手を応援する 農地あっせん会で就農支援 大阪・堺市農業委員会
大阪府の中央南西部に位置する堺市農業委員会(田中宏会長)では、従前より、利用権設定等促進事業として、認定農業者などへの農地の利用集積に力を入れる一方、近年では、市と連携して就農希望者への農地のあっせんにも尽力。新規就農者が最も苦労する農地の確保に結びつけている。
農業委員会では、毎年、農地台帳整備調査を行い、併せて農地所有者の貸し付け希望の意向を確認している。
日々の相談や農地パトロールなど現地へ出向いた際にも、遊休化の懸念がある農地を発見したら、貸し出し意向確認を行い、少しでも早く適正利用されるよう働きかけている。
農委だよりを通じて農地貸借の情報提供を行い、その他にも、借りたい希望が多い地区においては、利用可能な農地を見つけ出し、貸借につなげられるよう努めている。
また、事務局では、農地集積のための活動マニュアルや利用関係が把握できる一覧表を整備し、事務処理の円滑化に取り組んでいる。
同市では、2009年に、常設の新規就農者支援相談窓口を設置。2016年度までに、累計190件の相談が寄せられている。
2011年に、府の「準農家制度※」が制定されたことをきっかけに、2012年から市街化調整区域内の貸し出し希望農地を、就農希望者へ紹介する、農地あっせん会を開くようになった。
農業委員会と市では、事前に、府外に所有者がいる農地も含めて、接道状況、水源の有無などを調査し、リスト化。貸し付け希望者と新規就農者の仲介などを行い、新規就農者の営農計画に適合した農地のあっせんに努めている。
2016年度の5回目までの参加者は、累計で53人。1人当たり約10アールの貸借を達成し、その後規模拡大している人もいる。
同市陶器北土地改良区理事長でもある田中会長(77)は、3.5ヘクタールの農地を、中間管理機構を介して担い手へ橋渡しした経験があり、「同改良区内では、利用集積は約4割達成している。今後は7割まで拡大するのが目標だ。他の区域においても、農業委員、農地利用最適化推進委員が農地中間管理機構と連携を深め、農地利用集積につなげていきたい」と意気込んでいる。
※農作物の販売意欲や一定水準の農業技術がある人を「準農家候補者」として登録し、小規模な農地を紹介し、営農にかかる栽培技術や出荷方法、水利慣行ルールなどについて、地域の農家などと連携して助言などの支援を行う大阪府の制度
写真上=新規就農希望者への農地あっせん会で現地を確認する参加者
写真下=現地確認後の個別ヒアリング