農委活動の道しるべ(65) 農地利用集積の推進 (i)国民的課題としての農地集積 秋田県立大学生物資源科学部准教授 中村 勝則
「農地の利用集積」(以下、農地集積)という言葉はいつごろ登場したのか。
それは今から25年前、1992年までさかのぼる。農水省が「新しい食料・農業・農村の方向」(新政策プラン)を発表し、そこで稲作を中心とする農業構造として「効率的かつ安定的経営」が農地の大宗(たいそう)を占めるという姿が提示された。
「効率的かつ安定的経営」とは、「主たる従事者の年間労働時間が他産業従事者と同等であり、主たる従事者1人当たりの生涯所得がその地域における他産業従事者と遜色ない水準を確保しうる生産性の高い農業経営」とされている。要するに、他の職業と同等に稼げる経営である。これを農業生産の「担い手」として育成していくというものだ。