新生農委 集落の農業組合とタッグ 滋賀・東近江市農業委員会

滋賀県東近江市農業委員会(藤關安久会長)が集落の農業組合とタッグを組み、遊休農地の解消に力を入れている。農地パトロール(農地利用状況調査)では農業組合が事前に実施した地域調査を基にして、全体調査を行う。その後は農業委員会と農業組合の組合長で集落ごとに課題を検討。集落とともに農地利用を考えた結果、ここ7年間で16ヘクタールの遊休農地を解消した。
2009年の農地法改正をきっかけに、2010年から遊休農地の解消対策を本格化した。市内を8ブロックに分けて、集落に入り込んだ活動を実施。農業委員が各組合長から意見を聞き、それぞれの課題に沿って対策を練っていく体制だ。
農業組合は市内に220。各集落の農業を自治し、集落の窓口の役目も担う。組合長は各戸の状況や抱える課題を把握しているため、委員会ではより機動的に農業者に寄り添った対応が可能になった。
委員会事務局は「市内各地域の農業組合長の協力を得て集落の詳細な情報が得られるため、農業委員が遊休農地の解消活動をするときもスムーズに進んだ」と話す。
五個荘地域では農業委員が自らトラクターなどを使って約8アールの遊休農地を解消した。解消後は、農業委員が法人への貸し付けを調整。こうした小さな積み重ねが市全体の解消実績につながっている。
農地の利用集積でも高い実績を出す。担い手への集積率は70%超。集落の状況を的確に把握しているため、集積も効率的に進む。
同市農業委員会は7月24日に新体制に移行した。移行を契機に、集落、地域、全体会議の3段階の体制を構築。これまでの遊休農地解消対策を土台にして、「農地利用の最適化」を市全体で進めていく考えだ。
地域段階には農地利用最適化推進ブロック会議を新設。市を9地域に分け、農業委員と農地利用最適化推進委員で構成する。現場を重視する方針のため、より現場に近い推進委員をブロック長とした。
農業委員と推進委員はそれぞれ22人となり、移行前から4人の増員となった。農業委員と推進委員を同数にして、両者がマンツーマンで活動しやすい体制を整えた。今後、集落の農地利用をけん引すると期待されている。
藤關会長(75)は「遊休農地解消対策は地域農業の将来に直結するもの。今後は推進委員と農業委員が地域のリーダーになり、農業組合長と話し合いを積み重ねて地域農業を活性化させたい」と3者連携での遊休農地解消に意気込みを語る。
写真説明=農業委員と推進委員がセットでパトロール