新生農委 両委員がこまめに情報共有 沖縄・南城市農業委員会

 昨年4月に沖縄県内で先駆けて新体制に移行した2市の一つ、南城市農業委員会(港川猛会長)は遊休農地の解消を重点に据えて活動を進める。農地の出し手が見つかったら随時情報を共有できるように委員会内外での連携体制を強化し、担い手への集積実績を着実に伸ばしている。
 11人の農業委員と13人の推進委員が現場活動に汗を流す。市内を4地区に分けて両委員を2〜4人ずつ割り振り、地区ごとに決めた目標や方針のもとで推進委員が中心となって定期的な農地パトロールを実施。その際に活躍するのがGPS機能付きのタブレットだ。画面に表示される農地地図で現在位置を確認できるため農地の特定が簡単になり、より高精度な現状把握が可能になったという。
 8〜11月には全筆を対象に利用状況調査を行う。特に、日常的に把握している遊休農地は再度両委員でパトロール。その後の利用意向調査では、調査票の返送がない場合は戸別訪問も行い、農地中間管理機構への貸し付け希望者がいればすぐに事務局に報告する。このような掘り起こしの結果、2015年度には3・5ヘクタール(所有者17人分)、新体制移行後の2016年度には10・5ヘクタール(52人分)を機構に結びつけた。
 毎月の総会には農業委員全員の他に各地区代表の推進委員が出席し、担当地区の状況を説明。さらに偶数月には地区ごとに両委員の合同会議を開いて遊休農地対策を中心に検討する。
 こまめに連絡調整の機会を持つのは委員会内だけではない。市の産業振興課が月に1度主催する「農地中間管理事業推進チーム会議」には事務局や機構などの職員が参加し、農地の出し手情報と受け手情報を提供し合っている。
 現在、推進委員には委員未経験者や若手が多い。昨年度末まで事務局の臨時職員として遊休農地調査に携わっていた経験を買われ、4月から推進委員となった當山亜弥乃さん(30)もその1人。地域に精通した農業委員の存在は頼もしいという。
 「初めてのことばかりだが、他の委員や地元の農家とコミュニケーションを取りながらやっていきたい」と意気込む當山さん。現在は機構の農地調整員も兼務し、所有者への農地中間管理事業の説明も担当するなど、円滑な委員会活動に欠かせない存在となっている。
 事務局は今後、4地区でバラバラに実施している両委員の会議の他にも全地区合同の会議も開き、地区どうしの情報共有や意見交換の場も設けたい考えだ。農地の利用最適化に向け、農業委員、推進委員、事務局のつながりをさらに強めていく。

写真説明=タブレットを片手に遊休農地を見回る推進委員(3人の中央が當山さん)