農地を活かし 担い手を応援する 遊休農地を再生 みそ業者へ結ぶ 新潟・妙高市農業委員会

 新潟県の妙高市農業委員会(安原義之会長)は本年度、遊休農地約60アールの再生に取り組み、市内のみそ業者に結び付けた。農業委員会が入ることで、長く地域住民と農地の所有者の悩みを解消し、特産品づくりにもつながる事例だ。

 同市藤塚新田にある該当農地は優良農地の中に存在する遊休農地で、所有者の2人は市外、県外に住んでいる。この農地の存在は集落住民の頭を悩まし、集落の役員が何回も所有者と接触をしたが解決に至らなかった。
 同農業委員会は4月に、所有者や住民に、遊休化した理由やどのような支障があるか聞き取りによる実態調査を行った。所有者は市外に居住していることから管理ができず遊休化したが「ふるさとへの肩身も狭く、何とか解消したい」ということが本心だった。
 所有者への聞き取り調査を担当した安原会長は「この実態調査が大事だった」と振り返る。
 農業委員会は遊休農地を「自社で作った大豆を使いこだわりのみそをつくり、自社のPRと販売促進に結び付けたい」と考えていた市内のみそ業者に結び付け、耕作放棄地再生利用緊急対策交付金を活用し再生につなげた。6月の解消作業には農業委員、集落役員がボランティアで参加した。
 雑木があり重機も投入した。草刈り、抜根後に客土を行い、現在は除礫(じょれき)を進めている。再生作業に時間がかかったことから、今年の作付けに間に合わなかったが、来年は大豆が作付けされる。
 安原会長は「所有者1人では難しいが、農業委員会が中心になってみんなで取り組めばできるという事例を作ったと思う」と語る。農業委員会が動くことで集落の住民は喜び、所有者も負担なくでき、みんなが喜べる事例になった。
 さらに「妙高市は来年3月には新体制に移行するが、農業委員会が地域住民や所有者の声を採り上げた取り組みが必要と考え、総会に諮ったところ、農業委員会全体で真剣に取り組んでくれた。今回の遊休農地が再生できたことは、今後の活動にいろいろな面で生きてくると思う」と成果を語ってくれた。

写真上=成果を笑顔で語る安原会長

写真中=再生作業には多くの農業委員が参加

写真下=重機も導入して再生にあたった