新生農委 課題抽出し自発的に活動 宮城・登米市農業委員会

 今年7月に新体制に移行した宮城県登米市農業委員会(高橋清範会長)は、毎月1回、農業委員24人と農地利用最適化推進委員30人が一堂に会する「農地利用最適化推進連携会議」を開く。
 農業委員は農地の所有権移転や農地転用などの議案審議、推進委員は担当地区内の現場活動に責任を持って対応していくため、同会議では毎月の議案内容をはじめ、遊休農地対策や農地集積・集約化における個々の案件、課題などを共有し合う。これにより連携を密にして、委員会活動を活発化させていくのが狙いだ。
 さらに、農地利用の最適化で確実な成果を上げていくためには「自分たちで考えなければ、自発的な活動にはつながらない」という考えから、推進委員各15人で構成する農地集積特別分科会と遊休農地対策特別分科会も設置。最初の会合で推進委員らが意見を出し合って四つの活動基本方針を決定した。
 新体制になって最初の現場活動となった農地の利用状況調査は8月からスタート。推進委員が推薦し、一般農家から選ばれた利用状況調査員92人も加わり、1地区ごとに推進委員1人と調査員3〜4人の計4〜5人、推進委員が2人の地区は倍の8〜10人の体制で地図を片手に調査に当たっている。
 12月以降は遊休農地所有者らへの利用意向調査に入り、農地中間管理事業などの活用や農地の適正管理を働きかけていく。
 近年、同委員会には地域の担い手から「農地の集団化を進めてほしい」という声が多く寄せられている。リタイア農家の農地を引き受けて規模拡大する担い手が増えるものの、農地が点在していては作業効率が悪く、規模拡大も限界に来ている実情がある。
 そのため、本年度は推進委員が農地の集団化に関するアンケート調査を実施する予定だ。アンケート調査でとりまとめた結果を分析した上で、推進委員が集団化の仕掛け人になり、分散錯圃の解消に結びつけたいとしている。
 また同委員会は旧体制時代から建議活動(現・意見の提出)にも熱心に取り組んできたが、新体制でも「引き続き、力を入れてやっていきたい」と高橋会長(63)。
 「農地の問題だけでなく、米の生産調整廃止、後継者の育成、鳥獣害対策と農家の悩みや関心事はたくさんある。相談を受けた委員が案件ごとに対応しつつ、その声を意見書にも反映して市などの関係機関に訴えていきたい」と気合が入る。

写真説明=毎月1回開催する「農地利用最適化推進連携会議」。密な連携と活動の活発化が狙い