農委活動の道しるべ(71) 農地利用集積の推進 (vii)話し合いの局面打開 秋田県立大学生物資源科学部准教授 中村 勝則

 地域農業の将来に危機感を持ち、何とかしたいと考えている人はときに孤独である。
 そう感じたのは、秋田県内でお世話になっている、ある集落営農組織の代表とお酒を酌み交わした時のことだ。以前、同組織の構成員の方々にご協力いただいたアンケートの話題になった。こちらとしては難儀をおかけした上に、大したお返しもできず恐縮していたのだが、意外な言葉を頂いた。
 「あのアンケートは良かった。実は皆がどう思っているのか不安だった。分からないのが一番不安だ」というものだ。
 地域のリーダーと呼ばれる方々も、周囲の考えを知る機会は意外に少ないのかもしれないと感じた瞬間であった。同時に、筆者のような部外者が行うアンケートでも役に立つことがあるのかとうれしくも思った。