新生農委 「農業を考える会」参加 鹿児島・さつま町農業委員会

 鹿児島県さつま町農業委員会(池山準一会長)が地域の農業関係者が集まる「農業を考える会」で農地利用の最適化を進めている。人・農地プランの策定時から続く地域主体の話し合いに農業委員や農地利用最適化推進委員が参加して、町やJA、県と一緒に合意形成を後押し。ここでの呼びかけから農地中間管理事業の活用も進みつつある。
 考える会は町内の19地区でそれぞれに開催。地区からは区公民館長や認定農業者に加え、地域の推進委員などが出席し、行政やJAなどと地域農業の課題や将来像を検討する。どの地区も年に1回は開催し、時には農地図を囲んで、農地利用を議論する。
 この場をきっかけにして、各地区では新たな取り組みも始まっている。永野区の薬師地域では段々畑の遊休農地を解消し、農業体験の圃場に再生。グリーン・ツーリズムに結び付けた。温泉街がある湯田区は考える会に女性が参加したのを契機に、6次産業化を始めた。柊野区はかつて盛んだった桑栽培を再開し、桑茶加工にも挑戦する。地区と行政が同じテーブルで話し合ったことで、地元農業者のアイデアが実際に動き出した格好だ。
 農業委員会や町では、考える会で管理事業も周知。何度も繰り返し説明することで、事業は徐々に浸透した。農地中間管理機構を通じた貸借の実績は、初年度(2014年度)の1地区・14.5ヘクタールから、昨年度までの3年間で延べ9地区・188.5ヘクタールに広がった。本年度も新たに約80ヘクタールが貸借される見通しだ。
 農業委員会の岩下純一事務局長は「農業委員・推進委員と現場が一緒になって考えることが大事。新体制になった今後はより現場に寄り添いたい」と話す。
 委員会は8月に新体制へ移行した。農業委員は31人から10人に減り、一方、現場で目いっぱい動いてもらいたいと、9月には25人の推進委員を委嘱した。
 農地の借り受け希望があると農業委員と推進委員が農地を探したり、貸借契約には推進委員が同席したりと、徹底した現場主義が始まりつつある。今後は、約半数が委員会未経験の推進委員に研修や総会への参加を呼びかけながら、委員会の共通認識を深めていく。
 推進委員には、考える会をリードする役割も期待されている。町とJAでつくる担い手育成支援室の村山茂樹室長は「地域の話し合いがうまくまとまるかどうかはリーダーの存在が大きい。推進委員にはぜひリーダーなってもらい、地域の農業を引っ張ってほしい」と話す。

写真説明=農地図で確認しながら管理事業の活用を検討した船木地区