農地を活かし担い手を応援する 農委活動を強化 徳島市農業委員会

 徳島市農業委員会(川人泰博会長)は、選任された委員に業務内容を網羅した参考書「農業委員会業務の手引き」を作成・配布している。また、県農業会議や農地中間管理機構から講師を招いて研修を行い、業務内容の理解を図っている。

 徳島市は県北東部に位置し、吉野川流域で発展した都市で、恵まれた自然条件を生かし、米・園芸・畜産などによる複合経営体で発展した。
 同市農業委員会は、市内を15地区に分け、委員37人(農業委員19人・農地利用最適化推進委員18人)で農地パトロールを行う。手順は、3年に一度、税務担当課が作成するGIS上の航空写真を活用。写真をもとにリスト化し、約千筆の巡回を行う。
 筆数の多い地区では、2日間、早朝から夕方まで回ることもある。 
 パトロール後は、結果をもとに意向調査書や指導文書を送付し、若い担い手の利用や機構へあっせんを行う。
 2016年度は、887筆を巡回し、207筆の所有者に対して、文書での指導を行った。しかし、「若い担い手へのあっせんや支援だけでは、耕作放棄地の増加は防げない」と農業現場の課題改善に向け、活動展開を図る。
 例えば、後継者対策として、パートナー事業を展開し、2012年度からはJAとともに農業後継者の婚活事業を実施している。昨年度は、男女10組で収穫体験バスツアーを実施し、女性参加者に農業への理解を深めてもらった。
 また、同市で毎年開催される食材フェアに出展し、家庭菜園の相談や、農業への興味を育てている。昨年度は、いろんな品種のお米を使ったおにぎりの食べ比べなどの活動を行い、好評を得た。
 このほかにも、2003年度から農業振興をテーマにした小学生を対象とする図画コンクールを開催し、優秀な作品には表彰を授与するなど、業務の幅は広い。
 委員会活動を広めるための、広報誌「とくしま農業委員会だより」を年に3回発行し、取り組みについて情報発信をしている。全国農業委員会だよりコンクールでは、活動内容を評価され、全国農業新聞特別賞を受賞した。
 川人会長は「本市では多岐にわたる充実した活動を行っているが、農業の現在の課題と現状は実際に見てみないと分からない。まずは地域の実情を知ることが必要」と先進的な機械技術、太陽光発電、鳥獣害対策、新規就農、6次産業化を盛り込んだ管内視察を予定している。 
 委員に対し、業務への理解を深めてもらい、活動の展開を図ることが、今後の委員活動の強化につながるに違いないだろう。

写真上=農地パトロールを行う委員の皆さん

写真下=徳島市農業委員会の皆さん