農委活動の道しるべ(72) 農地利用集積の推進 (viii)コミュニティー貢献型経営戦略の基盤 秋田県立大学生物資源科学部准教授 中村 勝則

 農業がそこに生活する者によって営まれる以上、集落コミュニティーの維持もまた無視することのできない課題である。しかし、現在の農業政策は農業を産業として成長させることに重点が置かれ、右記の視点は弱いように思われる。
 今回紹介する秋田県水田地帯の集落営農法人は、農業収益と集落コミュニティー維持の双方を目指している事例である。2000年代半ばの圃場整備を契機に設立された。本来は個別の担い手農家に集積する予定だったが、それが頓挫。そこで担い手を除く3ヘクタール未満の農家26戸を構成員に農事組合法人を設立したのである。現在の経営面積は30ヘクタール弱で、水稲13ヘクタール、稲WCS10ヘクタール、露地野菜4ヘクタール、ハウス野菜1ヘクタールとなっている。