農委活動の道しるべ(73) 農地利用集積の推進 (ix)農地集積と資源保全 秋田県立大学生物資源科学部准教授 中村 勝則
「攻めの農業」が必要と言われる。その発想も重要だろう。しかし「守り」を固めた上での話である。「守り」の一つとして、農業水路や農道などの農業関連地域資源の保全を考えてみたい。
これら地域資源は、工業で言えば輸送用の道路や港湾といったインフラに当たる。ただ工業の場合と違うのは、インフラの保全管理を利用者である耕作者が負担していることである。農地集積の進展により、その負担はますます大きくなる。「利用者なんだから当然だろう」と言われるかもしれない。しかし耕作者以外の住民も地域資源の恩恵にあずかっている。農道も通るだろうし、水路は洪水予防に貢献している。つまり地域資源の保全管理は、地域コミュニティー全体に関わる問題である。