農委活動の道しるべ(74) 農地利用集積の推進 (x)農地集積と水田利用高度化 秋田県立大学生物資源科学部准教授 中村 勝則
わが国の水田利用は、水稲連作を基本としている。連作が可能であることは水稲の大きな魅力である。
だが、ロータリーによる浅耕(せんこう)と化学肥料の多投を繰り返すことで土壌構造が後退し、地力の低下を招いているとの指摘もある。生産手段としての農地は、使い方次第で作物を育てる力が増進する優れた特性を持つ。水稲連作・浅耕多肥ではそれを十分に生かせないということだ。
岩手県南部の水田地帯周縁部にある大規模水田作経営の事例を見よう。1980年代半ばに設立された農業法人である。農地所有者から貸し付け希望があれば、条件の良くない農地も断ることなく引き受けてきた。それが地域の農地所有者から信頼を得ることになり、今や経営面積は800ヘクタールを超えるに至った。
注目したいのは、農地集積の過程よりも、経営面積増加に対応した水田利用である。