農地を活かし担い手を応援する 生産緑地の面積要件緩和を実現 東京・日野市農業委員会
市に意見提出など積極的に活動
東京都日野市は、今年6月の改正生産緑地法の施行を受け、生産緑地指定の面積要件を緩和する条例を制定するなど、都内でもいち早い対応を行った。こうした背景には、日野市農業委員会の行政への意見提出など積極的な活動がある。また、市議会や市民との連携にも取り組み、地域農業の振興を図っている。
同市農業委員会(遠藤貴義会長)は、農地の保全や担い手支援を進めるため、さまざまな活動に取り組んでいる。その一つが要請活動。毎年、「日野市農業施策に関する意見書」を市(大坪冬彦市長)に提出し、生産緑地法の面積要件の緩和や過去に行為制限が解除された農地の生産緑地への再指定などを要望してきた。
こうした意見提出が実を結び、6月15日の改正生産緑地法の施行を受け、9月の第3回定例市議会において、生産緑地の指定面積の要件を現行の500平方メートルから300平方メートルへと引き下げる条例を、都内でもいち早く制定した。
この条例改正を受け、市では10月16日〜27日にかけて生産緑地の追加指定の申し込みを募集し、7件3500平方メートルの応募があった。
また、都市計画運用指針が改正されたことから、市の生産緑地の指定基準を改定し、これまで、生産緑地の追加指定の対象外としていた、(1)過去に農地法の農地転用の届け出がされている現況農地や、(2)生産緑地法の買取申出がされ、行為制限が解除されている現況農地についても、現在、農業が行われており、将来的にも営農が継続されると確認できる場合には、追加指定の対象とすることとした。
面積要件の緩和や追加指定できる対象の農地が広がったことにより、固定資産税の軽減などの生産緑地のメリットを、より多くの意欲ある農業者が受けることが可能となった。
また、農業委員会では、市議会との連携を深め、市の農業や農業施策の重要性への理解浸透を図り、農業施策を推進するため、市議会と合同の視察研修を開いている。本年度は、農業委員14人、市議会議員22人が参加し、市内の果樹農家を見学した。
また、市では市民向けに援農市民ボランティア養成講座「農の学校」を開設しており、農業委員も講師などを務めている。講座の修了生を主体として組織されているNPO法人「日野人・援農の会」の会員約100人は現在、援農ボランティアとして活躍している。
同市農業委員会は、行政への意見提出、市議会や市民との連携など多くの活動により、地域農業の振興を図っている。
写真上=意見書を手渡す遠藤会長(右)と大坪市長
写真下=市議会と農業委員会が市内の果樹農家を合同視察