農地を活かし担い手を応援する 農委会が遊休農地解消 奈良・斑鳩町農業委員会

地域振興に役立てる

 奈良県の北西部に位置している斑鳩町では、水稲を中心に、都市近郊の立地条件を生かした軟弱野菜や、果樹では梨、ブドウなどを生産しているが、全国的に問題となっている農業の担い手である農家の減少や、高齢化が進み遊休農地が増えてきている事が同町でも問題となっている。斑鳩町農業委員会(宮亮(あきら)会長)では、遊休農地の解消活動の一環で菜の花を栽培し、その花から取った菜種油を毎年、斑鳩町にある世界文化遺産の法隆寺に奉納し、今年で3年目となる。

 法隆寺は毎年1月に前の年を反省し、今年の五穀豊穣(ほうじょう)、国家安寧を願う伝統行事「修正会(しゅしょうえ)」を行うに当たり、明かりとして使用するための良質な油がなかなか手に入らず探していた。
 それを聞いた同町農業委員会は、斑鳩の農業が伝統行事の継承に少しでも役に立てればとの思いから、遊休農地の解消や町の景観形成にと、実証展示圃で作っていた菜の花からとれる菜種油を使えないかと法隆寺側に協力を打診し、快諾を得て奉納を行っている。
 また、同町農業委員会では、遊休農地で作った米などを「子供食堂」に提供する活動を始めた。子供食堂とは、主に家庭の事情などの理由で1人食事をとる子供たちに無料や安価で食事を提供する取り組みのこと。11月17日に米の進呈式を行い、今回は約400キロ提供する事となった。
 この活動は、同町の農業委員がテレビで子供食堂を取りあげた番組の放送を見て、自分たちも手助けできないかと思い立ったのがきっかけ。同町にある「こども食堂いかるが」に自分たちの作った野菜を使ってもらっており、この他にもジャガイモやキャベツを提供する活動も行っている。
 今後は、こども食堂いかるがに来ている子供たちと一緒に米作り体験をしてもらい、農業に触れてもらうイベントなどの企画も考えている。
 同町農業委員会の活動によって、遊休農地が解消された約1ヘクタールの農地で菜の花や米などを栽培している。
 宮会長は「これらの活動を通じて、遊休農地の解消と地域の振興に役立てるように活動をしていきながら、新しい事にも取り組んでいきたい」と意気込みを話す。

写真上=菜種油を奉納する農業委員

写真下=進呈式で子供食堂に目録を渡す宮会長(右)