農地を活かし 担い手を応援する 新規就農者へ支援を充実 香川・三木町農業委員会

体制整備し農地利用の最適化へ

 香川県の三木町農業委員会(脇博文会長)は、新規就農者への支援を充実させるため、新規就農者が青年等就農計画の内容などを自ら発表し、意見を交わす取り組みを始めている。認定新規就農者が農業委員・農地利用最適化推進委員に相談しやすい環境をつくるのが狙い。7月に新体制に移行し、農業委員19人、推進委員16人で活動している同町農業委員会では今後、両委員の連携を強めるための体制整備も予定している。

 県東部に位置する同町は、古くから稲作を主体とした野菜や畜産などの複合経営が行われている。近年はイチゴなどの施設園芸、軟弱野菜を中心とした園芸作物が増えてきており、特にイチゴは県内でも有数の生産地として先進的農業者が多く活躍している。全国的な課題である農業従事者の高齢化や減少といった課題を抱えているが、イチゴをはじめとした先進的農業者のもとで技術を学んだ新規就農者がそのまま町内で新たに就農するケースも増加している。
 同町農業委員会が新規就農者と意見交換する取り組みを始めたのは昨年度から。以前は、事務局から青年等就農計画を定例会で報告するだけにとどまっていたが、農業委員会法の改正に伴い、「新規参入の促進が必須業務になったことから、頑張っている新規就農者と顔を合わせて話をして課題を共有化したい」との農業委員の声で実現した。全国的に新規就農者の定着率が課題になっている中、同町農業委員会では「新規参入の促進」活動の一つに位置づけており、新たに農業を始める人が増えてくれることを期待している。
 昨年度は3人の新規就農者が定例会で報告しており、その後の農業委員会や関係機関による農地の集積・集約化などの支援で円滑に就農をスタートさせている。「地元の農業者や関係機関が連携を取り合い、将来、町農業を担う認定農業者へ育成していく方針だ」と町担当者は話す。
 同町農業委員会では、農地利用の最適化の推進を図る上で、農業委員・推進委員の連携が重要であることから新たに全体会議と地区会議の開催を来年2月から予定している。
 全体会議は、農業委員・推進委員が一堂に会して情報交換するもの。会議の中では、法令業務となる農地利用状況調査や農地利用意向調査などについて現場の情報や課題を共有するとともに、農地の判断基準についても委員らの足並みをそろえていく方針だ。
 地区会議は、町内で人・農地プランが策定されている4カ所(平井・田中・氷上・三木東部)を2ブロックに分けて二つの地区会議を設置し、農地の集積・集約化など、現場に密着した課題を協議する。地区会議には、農業委員・推進委員をはじめ、香川県農地機構の農地集積専門員、香川県農業協同組合なども参集範囲に加え、農地利用の最適化に向けて幅広く協議し、関係者との情報共有を図っていくことにしている。また地区会議で協議した内容や活動は、全体会議を通じて全ての委員へ報告し、農業委員会全体で情報共有を図っていく予定だ。