スピリット 京都・宮津市農業委員会 農地利用最適化推進委員 溝口 喜順さん
移住者に安定収入を
11年前に宮津市世屋の松尾地区へUターンしてから溝口喜順(よしのぶ)さん(46)は、無農薬・有機栽培の稲作経営を中心に、世屋への移住者がより安定した収入を得られるようにと、世屋の地域資源を生かした「なりわい」づくりに取り組んでいる。
その一つが、雪深い冬場に世屋の各家庭で行われていたコンニャクづくり。湧き水と薪の灰を使った手づくりで、溝口さんは自分で栽培するだけでなく、各農家からもコンニャクイモを買い取り、世屋ブランドとして販売している。現在、食用以外にコンニャクのりも試作中だ。
また、世屋では屋根ぶき用に良質のササが生産されていたことに着目。「世屋の産業を考える会」を立ち上げ、祇園祭の『厄除(よ)けちまき』となるササの出荷を始めた。質の良い笹場をつくることで安定的にササを確保し、和菓子屋への出荷も始まった。
他にも、棚田を活用し、ベジタリアン向けの雑穀栽培を行うなど、新たな地域特産の発掘も試みている。
写真説明=「娘が将来、なりわいを引き継ぎ、暮らしたいと思える地域にしたい」と溝口さん