機会捉え農地のマッチング 愛媛 西予市農業委員会


愛媛県の西予市農業委員会(西森真一郎会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員19人)では、農地の利用意向調査や相続による農地取得の届け出などの機会を捉え、貸し付け希望農地をホームページ(HP)で公表するなど、農地のマッチングによる遊休農地の解消に取り組んでいる。
西予市は愛媛県の西南部に位置し、海岸部の温暖な気候を利用した柑橘経営や山間盆地での水田農業、中山間地帯の畜産や野菜と水稲を組み合わせた複合経営など、多彩な自然環境と地理的条件を生かした農業が営まれている多品目産地だ。
2015年の市町別農業産出額では県内1位という本県でも有数の農業地帯だが、2010年と2015年の農業センサスを比較すると、農家戸数が4093戸から3532戸へ、経営耕地面積は樹園地を中心に3326ヘクタールから2963ヘクタールへと減少しており、農業従事者の高齢化と担い手不足の影響は同市においても無視できるものではない。
こういった背景の中、農業経営を縮小する農業者や相続によって農地を取得したものの、管理不十分で荒らしてしまう人がいる一方で、農業経営の規模を拡大し、経営の安定を図るべく、農地を求めている農業者もいる。両者をうまく結びつけていくことが、農地の有効活用と遊休農地の発生防止となり、今後の地域農業の維持・発展につながるとして、同市農業委員会では機会を捉えた農地のあっせんに取り組んでいる。
遊休農地の所有者に実施する利用意向調査時はもちろんだが、相続で農地の権利を取得した際、農業委員会に提出する届け出にあっせん希望がある場合にも現地を確認し、利用可能農地であれば定例総会であっせんを担当する委員を選任し、農地が有効利用されるように近隣農家らへ積極的に働きかける。同時に、農地のあっせん情報として市のHPに掲載し、広く借り手・買い手を募っている。2010年4月から2017年10月までに、129筆17万1477平方メートルのあっせんの申し出があり、うち39筆5万5562平方メートルの農地をマッチングし、現在も耕作されている。
また、同市では、毎年、市内24地区で農地中間管理事業の推進に基づく農業者などとの協議として人・農地プラン座談会および農地流動化委員会が開かれており、地元の農業委員・推進委員が委員長や副委員長に就任し、地域農業の将来のあり方についてリーダーシップを取って話し合いを重ねている。どの地区でも「担い手はいるが十分ではない」という厳しい状況だが、農業委員・推進委員が地域の農業者から出された意見の一つ一つに耳を傾けることで、遊休農地の発生を未然に防ぐことへつながっていることは間違いない。
今後も現場のリーダーとして、ますますの活躍とさらなる地域農業の維持・発展が期待される。
写真上=農業委員会による現地確認
写真下=人・農地プラン座談会および農地流動化委員会