子らに農業・農村への理解促す 食農交流活動や体験事業 福島市農業委員会

福島市農業委員会(宍戸薫会長)では、親子を対象とした食農交流活動や一連の農業体験を行う「農業ふれあい体験事業」に取り組んでいる。未来を支える子供たちに農業・農村への理解を深めてもらうことが狙い。農業委員自らが企画・運営しているのが成功のコツだ。
同市農業委員会では2006年より「農業委員が案内する旬の地場農産物再発見ツアー」を開催。農作業体験や料理教室などを行っていたが、「単に農作業を体験するだけでなく、食から健康をつくる大切さや生きるために必要な食べ物を作り出す農業を学ぶ機会を提供したい」と、2014年から親子を対象とした「農業ふれあい体験事業」として食農教育に力を入れる企画とした。
参加者は播種や定植から収穫まで年間を通した一連の作業で農業の苦労や喜びを味わうだけでなく、JAや農業施設の見学、公平に水を分配するための円形分水工のある栗本堰の見学など、収穫した後の出荷までの流れや農業の歴史なども学ぶ。女性農業委員を中心に、自分たちで収穫した農産物の料理教室や農業にまつわるクイズ大会や紙芝居なども行っている。
これらの企画・運営は農業委員が主体となっている。
市内7区域から選ばれた農業委員で構成する「農業ふれあい体験実行委員会」を設置し、毎年3月頃にその年の開催内容を協議・決定する。女性の視点が重要との観点から女性委員が優先的に実行委員となるルールとしている。
ふれあい体験は年4日開催し、定員は30人。開催直前に再度実行委員会を開き、その時の生育状況や参加者の反応を見ながら状況に合った内容を検討する。
事前準備や当日の運営は実行委員と開催区域に住む農業委員が中心となる。それに地域の農業者などに協力を仰ぐ。体験ほ場の選定や資材・食材の確保なども農業委員らが行う。
農業体験で課題となるトイレや駐車場の確保は、集合場所を各地区にある学習センターにすることで解決した。同センターには調理実習室があり料理教室もそこで行うことができる。
事務局では実行委員会の決定を受けて市の広報紙やホームページでの周知、市内の小学校へのチラシ配布などで参加を募集するとともに、当日のタイムスケジュールや役割分担表を作るなど運営をサポート。
予算は会費(大人1500円、子供500円)と市の補助合わせて約10万円で主に料理教室の材料や傷害保険、協力者への謝金などに充てている。
実行委員長の古関惠子さんは「短時間での体験や調理には事前の入念な準備が必要となり苦労も多いが、何より子供たちの喜ぶ顔が励みになる。市民の方と農業委員会の懸け橋になるよう、今後もよりよい新たな企画を考えていきたい」と話している。
写真1=栗本堰の円形分水工を見学
写真2=子供たちにアップルパイ調理の手ほどきをする古関委員長
写真3=紙芝居で農業の大切さを分かりやすく伝える
写真4=梨を収穫する子供たち