積極的に話し合い耕作放棄地を解消 福井・南越前町農業委員会
福井県の南越前町農業委員会(惣次健一会長)は農地所有者や関係機関・団体との積極的な話し合いなどを通じて、条件不利地域の農地を地区外の担い手に結びつけ、耕作放棄地を解消。農地利用最適化で成果を上げている。
同県のほぼ中心に位置する南越前町は、稲作が農業生産額の70%を超える水稲単作地帯で、第2種兼業農家が大半を占めており、土地利用型の農業が定着している。耕地面積は約1060ヘクタールで、中山間地域が多く、つるし柿や水仙などが特産品として有名だ。
全国的に高齢化や担い手不足が進む中、今後、耕作の意思はあっても耕作できないケースが増え続けていく恐れがでてきている。同町の西大道地区(旧南条町)では、耕作者が圃場の管理ができず遊休農地になっていた。そこで、農地所有者の複数人から管理について同町農業委員会に相談が入った。
耕作放棄の期間は2015年頃からで、特に水管理と雑草の管理が問題と分かった。同農業委員会が2016年9月頃に集落で説明会を開き、農地所有者から意欲のある担い手への耕作をお願いしたいという意向を確認した。
同年10月に農業委員会と町農林水産課が主体となり、担い手協議会やJAなどに耕作してもらえる担い手がいないか積極的に話し合いを続けた。しかし、耕作されていた頃から圃場の水はけの状態が悪く、耕作されない期間中にさらに悪くなったこともあり、地区内では耕作ができないという声が多く、耕作者が見つからなかった。そこで、地区外にも働きかけた結果、当時農業委員(現・農地利用最適化推進委員)の永野正義さんが現状を打破するため手を挙げた。
永野委員は、(有)リトリート田倉の実質的な現場の監督者である。「農業ができなくなった土地を借り受けして、地域の農地を守り続ける」という経営方針のもと、宅良地区の中心的担い手となっており、同町が資本金の半分を出資するなど町全体としても関わっている。
同社により2017年度から作付けがスタート。約160アールの遊休農地を解消した。ただ、地区外ということもあるので、今後も継続して耕作してもらえるよう農業委員会としても話し合いやサポートを継続する考えだ。
同町農業委員会では、利用意向調査を徹底的に行い、発生が確認できれば解消に向け、担い手法人などに働きかける体制が整っており、今後も地域と協力して遊休農地発生の防止に努めていく。
写真説明=西大道地区の圃場