新規就農者を確保・育成 高知市農業委員会
高知県中央部に位置する高知市は、中山間地と平地を併せ持っており、温暖な気候を利用した早生水稲や施設園芸栽培が特徴だ。南西部の同市春野町は県内屈指の施設園芸地帯ではあるが、例に漏れず担い手不足が危ぶまれている。こうした中、新規就農者の確保・育成に積極的に取り組んでいる高知市農業委員会の取り組みを紹介する。
高知市農業委員会(大野哲会長)は、農業次世代人材投資資金(経営開始型)で構成されるサポートチームの一員として綿密な対応を展開している。
作目や地域に応じて農業委員・農地利用最適化推進委員の中から担当者を決定しており、現在、両委員各2人ずつ対応している。
事業上、サポートチームは新規就農者に対し、年2回聞き取りを行うが、同市では新規就農者の抱える不安や課題の解決に迅速に対応するため年4回訪問している。
訪問前にはサポートチーム会を開催し、情報共有を図っているが、担当となっている農業委員・推進委員はサポートチーム会前に新規就農者を個別に訪問し、事前に課題の聞き取りを行っている。
こうして得た情報をチーム会で共有し、課題解決に向け検討を行い、新規就農者にフィードバックしている。
また、新規就農者にとって、就農する上で課題となるのが施設園芸に必要なハウスなどの初期投資だ。いかにコストを低く抑えるかが重要なポイントとなる。これに対し、空きハウスを修繕して利用することが有効な策として考えられるが、新規就農者をはじめとする地域外からの参入者とハウスの所有者との間で円滑な交渉ができていないことが課題となっていた。
そこで本年度から地域の代表者である農業委員会がJAなどと連携して空きハウスの調査やハウス所有者への声かけなど、新規就農者と地域との橋渡しを担う取り組みを始めた。
サポートチームの一員となっている矢野強農業委員(47)は「地域で農業を辞めようとする人がいれば、空きハウスの情報を収集して、JAなどと情報共有を行っている。得た情報は新規就農者を中心に提供している。先輩農業者として相談に乗る中で新規就農者の不安を少しでも解消する手助けをしていきたい」と話す。
写真上=サポートチーム会。新規就農者の問題や課題を共有する重要な場となる
写真下=サポートチーム会で話し合われた内容をもとに訪問することで、迅速な対応ができる(左端が矢野委員)