委員による広報活動は地域との絆づくり 京都府農業会議

 京都府農業会議(草木慶治会長)では、農業委員会の委員による『農業委員会だより』づくりの支援に力を入れている。農業会議が本格的に広報誌づくりの支援に乗り出したのは35年前にさかのぼる。委員自らが企画づくりやネタ集め、取材に参画していた委員会では、農家目線の親しみやすい誌面になるだけではなく、地域の農家と懇意になり、農業委員会業務全般が円滑に進んでいたためだ。

 農業会議では、1983年、全国に先駆けて「京都府農業委員会広報コンクール」をはじめたが、当時は、委員の多くが広報誌づくりの経験がなく、文章を書くのが苦手という状態だった。そのため、合宿で記事の書き方など広報編集の基礎を学ぶ「広報研修会」をスタートさせた。
 回を重ねるにつれて、「編集委員になった時に、まず“読んでもらえる”委員会だよりにしたいと、みんなで話して編集方針を変えた」「毎月総会後に集まって写真や記事の検討をしている」など、委員の意識も変わり、委員主導の作成が定着してきた。
 近年では、研修会は「他市町村の編集委員がどうやっているのか知りたい」という委員からの要望で、相互に意見を交わす研さんの場となっている。
 研修会のテキストは、各委員会が前年に発行した全ての広報誌だ。元・新聞記者やカメラマンらを講師に、プロの目から見た広報誌の良しあしを聞くほか、委員らが編集に当たり工夫した点や読者の反応などについて情報交換をする。
 「表紙写真なのに、なぜこんな表情のものを使ったのか」「ページがびっしり文字で埋まっていて読む気がしない」など、プロの誌面講評では辛口のコメントも。委員からは「言葉はかなり厳しいが、説明を聞けば、なるほどと思う。指摘点を改善して良くなった」と、より良い広報誌にしたいという委員の意欲に結びついている。
 委員による地域色豊かな広報誌づくりで、配布した農家や市民から問い合わせや感想などの反応が増えたという委員会もある。
 「農業委員会だよりは、農業委員会の活動を知ってもらうのに有効な手段。府内全体で切磋琢磨(せっさたくま)して、さらに良い広報誌をつくってもらいたい」と全国コンクールを主催する全国農業会議所も激励の言葉を贈る。写真上=広報研修会では、委員の体験に基づく意見が活発に交わされる

写真=委員がつくる誌面は地域色豊か((中)農業者年金の加入推進に力を入れる久御山町では加入者を表紙で紹介する、(下)八幡市では女性委員が『がんばる母ちゃんパワー』として女性にスポットライトをあてるページをつくる)