地区ごとに「活動計画」 「守るべき農地を守る」が信念 岩手・軽米町農業委員会
岩手県北部に位置する軽米町農業委員会(西舘徳松会長)は、地区ごとに農地利用最適化活動計画を定め、農業委員・農地利用最適化推進委員による地域推進班を編成。活動目標を定め、農地利用の集積、耕作放棄地の減少に向けた活動をスタートさせた。
軽米町は青森県境に位置し、総面積の約8割が山林原野で占められた中山間地域である。葉たばこやホップ、雑穀栽培のほか、和牛繁殖、ブロイラーなど畜産も盛んな地域だが、農業者の高齢化、担い手不足が課題となる中、同町農業委員会では「守るべき農地を守る」という信念で農地利用の最適化に取り組んでいる。
同町農業委員会(農業委員12人、推進委員6人)では、2017年10月に県農業会議が定めた農業委員会組織農地利用最適化推進活動方針に基づき、町内を6地区に分け、農業委員2人、推進委員1人の3人一組の6班体制を組み、班ごとに地域の現状と課題、年度内における推進班と重点地区のそれぞれの活動目標などを盛り込んだ「地域農地利用最適化活動計画」を6班全てで策定した。計画作成に当たっての議論では、町内全体を効率良く調査するための方法の検討や「守るべき農地を守る」が、大型機械が利用できないような山沿いや面積の小さな農地は積極的に非農地判断を行っていくべきなど、さまざまな意見が出された。
活動計画では新たな取り組みとして「農業経営の意向把握カード」の作成がある。町内の全農家を対象に、今後の農地利用の考え方を把握することを目的に、営農継続の意向や、やめる場合の農地の利用はどうするのかなどを調査項目とし、本人の了解が得られた場合には、関係機関・団体と情報共有することとしている。
2017年度は、事前に町内の全農家にカードを送付し、地域農業マスタープランの見直し座談会に合わせてカードを持参してもらい、それをもとにした相談活動を行った。座談会は10地区で開かれたが、6班で対応。地区を担当する農業委員・推進委員であることを紹介してから相談活動を行ったことにより、参加者が委員に声をかけやすくなり、会場のあちこちで相談を受ける様子が見られた。
西舘会長は「初めて意向把握カードを配布して相談を受けたが、農業者の考えや思いを聞くことができ、地域農業の方向性を再確認することができた。今後は、カードを有効活用して、最適化活動につなげていきたい」と話す。
計画に基づいた活動はスタートしたばかりだが、それぞれの委員が手応えを感じ、前向きな取り組みにつながっており、今後に期待が寄せられている。
写真上=農業経営の意向把握カードにより相談を受ける推進委員
写真中=相談を受ける農業委員と農業委員会事務局職員
写真下=農地利用最適化活動計画と農業経営の意向把握カード