意見交換など通じて課題整理 農業者の声を市政へ 北海道・士別市農業委員会

 北海道北部にある士別市農業委員会(松川英一会長)は、意見提出活動の一環として、毎年行う農業者との意見交換や定期的な調査を通じて、現場が抱える課題を整理している。そこで浮かび上がった課題については、解決に向けた対策を協議し、市長への意見提出や農業委員会の活動計画、市が策定する全体計画に反映させるなど、同市農業の維持・発展に向けて尽力している。

 同市農業委員会内には、委員で構成する三つの組織がある。市長へ提出する農地利用最適化推進施策の意見内容を協議する「農地等利用最適化推進特別委員会」、農地利用状況調査や農業者との意見交換などの結果を踏まえて、現場が抱える問題解決への対策を考える「政策検討特別委員会」、農業委員会が発行する「農業しべつ」の企画・編集や市広報への情報提供を行う「編集委員会」だ。

 同市農業委員会は、毎年11月に市長へ意見を提出している。意見の内容は、農業用排水施設の計画的な補修、害獣捕獲数増加に伴う駆除対策の継続、輪作体系の確立に向けたビート・ジャガイモ栽培の推進など6項目。意見策定前に同市農委による地域農業者との意見交換を行い、現場が抱える課題や意見を取りまとめている。

 農業者との意見交換会については、毎年、市内12地区で開いている。特に、2018年は、市が新たに策定する「士別市まちづくり総合計画」(2018年〜2025年)が始まる節目の時期。同計画は分野ごとに分けられ、農業分野の「農業・農村活性化計画」策定に向けて、農業委員会の意見が求められるため、2017年は市の経済部と連携して意見交換した。その結果を踏まえて策定された同活性化計画には、「良質な堆肥づくりと輪作体系の確立」や「補助事業を活用した用排水施設の補修」など、農業委員会の意見が反映されている。
 また、同市農業委員会では、農業委員の任期に合わせ、3年に一度、農業者を対象に農業経営に関するアンケート調査を行っている。同調査では、農業経営の現状や意向など、項目が細かく設定されている。同市農業委員会は、同調査や意見交換の結果を踏まえ、課題解決への対策を活動方針や実施計画に反映させ、農地のあっせんや農業後継者の配偶者対策などに活用している。

写真上=市長へ意見提出する松川会長(左)

写真下=農業者との意見交換会で説明する農業委員