女性委員の登用促進 不在の農業委員会ゼロに 鹿児島県農業委員会女性委員の会

 鹿児島県では、女性農業委員が不在の農業委員会がゼロとなった。県農業委員会女性委員の会が女性委員の登用促進のため、新体制の委員募集の時期に合わせ関係市町村長らへの要請活動を展開しており、その成果が表れた。また、女性委員数も拡大している。

 鹿児島県では地域で活躍する農村女性が多いものの、2016年4月時点では、女性委員がゼロの農業委員会が7市町村、1人のみが13市町村あり、女性委員の登用促進が大きな課題となっていた。このため、同年12月、県内の農業委員会会長の代表者と女性委員との意見交換会で、「女性登用について、地域や市町村長に十分理解していただき、目標を持って取り組むべき」などの意見が出された。県農業委員会女性委員の会では、これらの意見を踏まえ、女性委員がゼロか1人で、新体制移行前の19市町村長らに要請活動を展開することとなった。

 具体的には、同会の榎木美代子会長・木場由美子副会長に加え、県農業会議の諏訪園一行会長の協力も得て市町村長らを訪問し、要請書を渡した。また、同会から「女性ならではの感性や視点を生かした活動などにより、農業委員会活動の幅が広がっている」ことなどを説明し、女性登用の重要性に理解を求めた。特に、榎木会長は「どの市町村にも必ず活躍している女性がいる。発言力のある女性がいるのに、女性委員がゼロなのはおかしい」と強く説明した。これに応え、どの市町村長も前向きな対応を述べた。

 これらの活動の結果、この5月に新体制へ移行した徳之島町で新たに女性委員が誕生したことで、県内の43市町村すべての農業委員会に女性委員が出そろった。また、女性委員が複数いる農業委員会の数も、2016年4月時点の23から33に増加。女性委員の数も83人から、1.3倍の111人に増加している。特に、南種子町では女性が会長に就任し、与論町では女性委員ゼロから一挙に4人に拡大している。
 榎木会長は、「これからは、女性委員が一緒に学び、また、委員活動の中で出てきた疑問や悩みを話し合い、解決するなど自己研さんに努めることも大切。知識と経験を積み、力をつけて農業委員会をリードしていきましょう」と熱く語る。女性委員が増えたとはいえ、まだ1割強であることから、登用目標の3割達成に向けて、女性委員の会では今後も関係者と連携しながら活動を展開する計画だ。

写真説明=徳之島町での要請。中央が榎木会長(2017年11月1日)