地元の農業組合と耕作放棄地を解消 滋賀 大津市農業委員会

 大津市田上地区の石居集落では、農業委員と農地利用最適化推進委員が地元の石居農業組合と連携して耕作放棄地の解消活動に取り組み、草刈りや耕起により約80アールを農地に復元した。

 「圃場整備を控えて、集落では耕作への意欲が高まっており、地元の農業組合とともに耕作放棄地の解消活動に取り組めたのが大きかった」と話すのは、大津市農業委員会会長の大谷和之農業委員と、同地区担当の田中宏和推進委員。同地区では、担い手がおらず、地元農家16戸と近隣集落からの入り作農家10戸が個別に稲作に取り組んでいる。
 しかし、後継者不足や相続などによる耕作放棄地が年々増加。セイタカアワダチソウが繁茂し、周辺の営農に支障が出ていた。そのため、両委員と農業組合が解消対策について話し合いを重ねてきた。両委員は、同級生同士で話が通じたほか、田中委員が農業組合の元組合長だったこともあって、解消に向けた連携はスムーズだったという。

 農業組合では、これまで新規就農者に農地をあっせんしたほか、両委員と連携して所有者に草刈りをするよう指導もした。所有者による草刈りが困難な場合は、集落の有志が立ち上げた農作業受託組織「リテイン・アグリ石居」が作業を担ってきた。
 それでも、耕作放棄地として残った80アールについては、3月に両委員と農業組合関係者9人で草刈り作業を実施。作業終了後には「周囲一面が見渡せるようになった」と喜びの声で沸いた。集落では解消した農地に作物を作付けしようとの話も出ている。
 一方、雑木が繁茂している18アールの耕作放棄地は今回の作業で解消できなかったため、これからの課題になるという。
 石居集落を含む田上地区では、大規模な圃場整備計画が進行している。両委員は「今後、圃場整備が完了すれば、営農組合法人を立ち上げ、農地中間管理機構を活用して、法人への利用集積に結び付けたい」と意欲を見せる。

写真上=大谷会長

写真下=右からリテイン・アグリ石居の世話役・井上繁治さん、推進委員の田中さん、石居農業組合長(着手時)の森口昭次さん