農委会一丸となり農地利用最適化へ 熊本 合志市農業委員会
合志市農業委員会は2016年4月に新体制に移行し、農業委員14人と農地利用最適化推進委員22人、事務局が一丸となり農地利用最適化に積極的に取り組んでいる。今年は、これから先に担い手となる農業者へ今のうちに農地を引き継ぎ、農地の集積・集約化の実績をさらに上げる勝負の年と位置づけている。同委員会の峯隆吉会長(70)と森山邦彦事務局長(57)に、新制度移行3年目となる2018年度の委員会活動に向けた考えを聞いた。
同農業委員会は、この2年間に農業委員・推進委員の合同会議や農業公社、農業会議を講師に招き、農地利用最適化ワークショップを開くなど、委員のスキルアップの研さんを積んだ。
モデル地区による農地集積のワークショップでは、集積するための問題点、農地の利用状況や地主の現状などについての課題も把握。地区別の実務演習では、担当地区ごとにどの農地を誰に集約すべきかなどを検討した。今後の農業経営について、実際に農業者へ聞き取りを行うなど、実績につながる取り組みを展開してきた。
合志市は、熊本市北東部のベッドタウンとして人口の流入が増加する熊本都市計画区域の中で、市街地と緩やかな大地に広がる2220ヘクタールの農地が混在する地域。700戸余りある農家戸数の減少が危ぶまれる一方、意欲ある担い手農業者の中には、法人化に向けた動きが活発になってきている。今後さらに農業者の高齢化が進み、農家人口が年々減っていく中で、どのようにして地域農業を守っていくかが大きな課題だ。
農地の集積・集約化を進め、農地中間管理機構を活用しながら、担い手へ農地を任せることが耕作放棄地の解消になり優良農地の存続につながる。
峯会長は「農産物の販売利益が他産業並み、または、それ以上になれば誰も離農せず、担い手も育つ。その一方で、農業経営力向上を目指した法人化の取り組み方法が課題。農地利用の最適化の先には、将来を見据えた農業経営があり、そのために農地の集積・集約を行うことが大事だ。目の前の区画整理などについては、農家同士がしっかり話し合いを進め『将来いつまで経営できるのか』『誰が自分の農地の受け皿になってくれるのか』などを真剣に考えなければならない」と語る。
「農地の集積・集約化には地域の話し合いが不可欠だ」と声をそろえる峯会長と森山事務局長。同委員会は、地域の優良農地を守るために、農業委員や推進委員が地域の農家に積極的に声をかけ、農業者が自ら担う農地の保全や将来の農業発展などについて、それぞれの地域で議論を交わしていく。
写真上=農地集積のワークショップ
写真中=峯会長
写真下=合志市農業委員会事務局と峯会長(中央)