農委・推進委で農地パトロール 現状改善へ相談・行動 岡山・総社市農業委員会
総社市農業委員会(定井正雄会長)は、昨年7月20日に農業委員15人、農地利用最適化推進委員18人で新体制をスタートした。総勢33人の中から、今回初めて委員になった農業委員の能登谷和正さん(70)と推進委員の小西安彦さん(71)の2人の活動を紹介する。
能登谷さんは、土地や建物に関する表示、権利などの事務を長年された経験から、新たに設けられた中立委員として任命された。一方、長年会社勤めをしながら家業の農業に携わり、地区の世話役などを担ってきた小西さんは、推進委員に委嘱された。2人とも地元の推薦を受けての委員だった。
2人が委員になって最初に四苦八苦したのが農地パトロール。ペアを組み、相談しながら現地に出向いたが農地の場所がなかなか特定できず、事務局まで何度となく足を運んだ。暑い中、汗だくでやっとの思いで農地パトロールを終えたが、この経験をきっかけに自分たちが住む地区の農業の現状が分かり、どのような取り組みが必要か、いろいろなことを話し合うようになった。
2人が住む地区は、圃場整備事業がおおむね実施されているにもかかわらず不耕作地や、高齢の夫婦のみでやっと耕作をしている農地があまりにも多かった。この現状をどうにかしなければとの思いから、前農業委員の川田嘉さんや地区の関係者に何度となく相談した。
このままでは、私たちの地区も数年後には大変なことになると感じた2人は、まず農家の意識調査を実施。10月に農家103世帯へ、地区関係者の協力を得てアンケート用紙を配布、回収した。思うように回収できなかった農家には何度となく訪問し、趣旨を説明。最終的に100%の回収率となった。
川田さんは「以前は農業委員1人が中心となり活動をしていたが、法改正後は推進委員が設置され、2人で相談をしながら活動することができるようになった。より積極的に取り組めるようになった」と話す。
アンケート調査の結果は、「5年以内に農業をやめたい」が57%。「後継者がいない、未定である」が75%を占めた。その半面、「営農組合の設立に賛成である、どちらでも良い」と考える世帯が94%だった。調査を行ったことで、それぞれの農家が抱えている問題、意識が具体的な数字として明らかになった。
この結果を基に、12月から地域ごとのミニ集会を何度となく開催。自分たちの地区に営農組織を立ち上げることが最終目標であることを確認した。
能登谷、小西両委員は、「アンケート調査を実施することで、農業に対するそれぞれの考えが分かった。営農組合を立ち上げることは、いろいろな課題を越えていかなければならない。ミニ集会などを実施することで、地域と一緒になって10年後、20年後の農業の在り方を考え、取り組んでいきたい」と話す。
写真説明=左から小西さん、能登谷さん、川田さん