委員全員で農年加入推進 昨年度は目標上回り、今年も順調 千葉・銚子市農業委員会

 2017年7月に新体制に移行した銚子市農業委員会(飯田理会長)。農業委員15人・農地利用最適化推進委員11人の現体制になってからは、2017年度の農業者年金の加入目標9件に対し、目標を超える12件の加入実積を達成している。本年度の加入件数も5月末時点ですでに4件と上々の滑り出しだ。2008年以降の新規加入者数は、年間平均10人前後と着実に実績を積み上げている。

 銚子市では夏涼しく、冬暖かい海洋性気候を生かして、キャベツ、大根、メロンなどの露地野菜を中心に栽培されている。専業農家率は千葉県内でトップクラス。こうした農業事情も踏まえ、同市農業委員会では農業者年金の加入推進に力を入れている。
 農業者年金は他の公的年金に比べて有利な点が多く、魅力的な制度だが、農業者年金という言葉は知っていても、制度の内容はよく知らないという農業者が少なくない。そこで、飯田会長は「制度を知らなかったために加入しなかった農業者をなくすためには、制度の周知を徹底しなければならない」と宣言し、26人の委員全員での戸別訪問をスタートさせた。
 具体的には市内を6地区に分け、事務局で絞った加入候補者を対象に、地域の担当委員が責任をもって回り、節税効果などを切り口に、加入のメリットを説明。そのほか、委員が参加する会合などあらゆる機会を通じて、農業者年金のPR活動を展開している。地域の農業者の代表である委員が説明したこともあり、普段の信頼関係の延長で加入を決めた農業者もいた。
 豊田純一事務局長は、「地域の中でお互いの顔の見える関係が農業委員会の活動の基本なので、戸別訪問を行うことで農業者年金だけでなく、農地の権利関係に関する農業者からの相談など、その他の活動にもいい影響が出ている」と話す。

 事務局も、各種申請などで来局した農業者や新規就農者激励会などで、制度の魅力をPRしてきた。その際、興味を示す農業者がいた場合は、後日、電話したり、地区の委員に話をして加入推進に当たってもらうようにしている。現在、現況届の提出期間中のため、未加入の後継者がいる受給者に対しては、農業者年金の加入を勧めている。
 農業者年金担当の鈴木江美主事は「窓口対応をしていると、国民年金だけでは、将来の生活が不安だという声をよく聞く。そうした方に制度の説明をすると興味を持ってくれることが多い。特に若い世代には、旧制度の抵抗感も少なく、素直に聞いてくれるので、説明しがいがある」と語る。
 今後も、農業委員と推進委員があらゆる機会を通じて、農家に対して農業者年金のメリットをPRすることが、地域農業の発展につながると考えている。

写真説明=銚子市農業委員会第1調査区の皆さんと飯田会長(後列左から2人目)