最新情報が活動の基礎 データをファイル化し両委員活用 新潟・阿賀野市農業委員会


阿賀野市農業委員会(小嶋覚会長)は改正農業委員会法の施行後の2016年7月に新体制に移行。19人の農業委員と19人の農地利用最適化推進委員で農地利用最適化に向けた活動を展開している。その中から、推進委員に就任した青木等さん(41)の取り組みと農業委員会の調査活動を伝える。
土地改良区職員を辞め、専業農家になった直後に推進委員に推された青木さん。職員時代に「人・農地プラン」のもと、地元集落でコーディネート役を務め、農地中間管理事業を活用した農地集積を取りまとめた実績を持つ。地域集積協力金の活用に当たっては「ルール作りが難しかった」が担い手、出し手みんなで話し合った。
この経験をもとに、昨年度から隣接する集落の農地集積・集約化に取り組み始めた。現在、話し合いに向けた日程調整の段階だが「担い手や後継者が不足する地域で担い手をどう確保するか」をポイントに考えている。
「担い手の育成」は農業委員会にとって共通の課題だ。農業委員会が行った経営状況調査によると、60%が「農業後継者なし」と回答した(2018年1月1日現在)。
農業委員会業務の基礎資料と市全体の農地・農家の最新情報を整備するために、農業委員会制度改正前は農業委員選挙人名簿の調整の際に合わせて行っていたこの調査。新制度後は単独で調査を行い、昨年から担当地区のデータをファイル化して農業委員・推進委員に渡し、活動の基礎としている。
調査対象は30アール以上を耕作する農業者2590世帯。調査項目は、(1)現在の経営状況(2)今後の経営見込みに加え、今回から(3)農業後継者を入れた。2052世帯から回答があり、提出率は79%だった。
現在の経営状況は「自作」が67%、機械作業全部委託が10%、機械作業一部委託が8%。今後の経営見込みは「現状維持」が62%と最も高く、ついで規模拡大が12%、廃止が10%だった。合併前の旧町村ごとに若干傾向が異なるという。
「後継者なし」とした農家でも「高齢者のみの世帯」「2世代、3世代の世帯」で状況が違う。「規模拡大」や「規模縮小」も「今すぐ」と「将来」では状況が違うことから、担当委員が現場に入り、今後の意向などを具体的に把握することが必要と考えている。
写真上=青木推進委員
写真下=阿賀野市農業委員会事務局と青木推進委員(右)