農地所有者の意向把握 調査票を配布 兵庫 明石市農業委員会

 明石市農業委員会(中里正己会長)は、農業委員・農地利用最適化推進委員に調査票を配布し、農地所有者の意向把握に取り組んでいる。同市は、兵庫県の南部に位置し、東部は市街化区域、西部は農振農用地が広がり、主に水稲やキャベツの栽培が盛ん。昨年7月に新体制に移行し、農業委員14人、推進委員6人で活動している。

 調査票では、(1)耕作や草刈りの有無などの農地の利用状況(2)規模縮小や離農または規模拡大などの所有者の意向――について把握することとしている。
 1月8日、同市大久保地区を担当する推進委員の立花吉廣さん(65)は、75歳の農家から「病気のため今年の作付けをしようか迷っている」と相談を受け、借り手を探していた。14日に、農地の所在地である魚住地区の地元農業委員・藤原智さん(62)に誰か耕作してくれそうな人はいないかと相談したところ、藤原さんもすぐに借り手探しに奔走し、その日のうちに50代の認定農業者が借り受けることとなった。
 藤原さんは「魚住地区の農家は、地区内の農地は地区内で解決したいと考えている。3人に声を掛けたところ3人とも借りてもいいと言ってくれたが、所有者が1人の人に貸したいという意向だったので、最終的に1人に借りてもらうこととなった」と話す。
 立花さんは「遊休農地を出さないように、デイサービスに通いながらもがんばって耕作している人もいる。自分から誰か借りてほしいとは言いにくい面もあるのでは。そういうところをくみ取って、誰かに声を掛けてみようかというのが私の仕事」と話す。
 5月に貸借の手続きが完了し、3筆・約70アールを権利設定。6月から田植えが始まっている。
 立花さんは「推進委員になる時の面接で、地域に入って担い手へのバトンタッチができるようにしたいと言った。遊休農地が発生しないように早めにバトンタッチできるように調整したい」と話す。
 藤原さんは「私の集落では、今はまだ担い手がいるが、10年後は分からない。今後は集落営農組織を立ち上げ、地域で農地を守りたい」と話している。

写真説明=担い手にあっせんした農地の前で。立花推進委員(左)と藤原農業委員