女性委員の活動が支え 遊休農地の発生防止・解消へ 岩手 遠野市農業委員会

 遠野市農業委員会(千葉勝義会長・農業委員18人、農地利用最適化推進委員26人)では、遊休農地の発生防止・解消活動に重点をおいて、農業委員・推進委員が一体となって取り組んでいる。特に、女性の農業委員・推進委員の積極的な活動が農業委員会全体の活動を支えている。

 遠野市は、岩手県南東部の内陸に位置し、周囲を山々に囲まれた盆地で、日本一の生産量を誇るホップや東北一のワサビの生産地としても知られるなど農業が基幹産業となっている。グリーン・ツーリズムによる都市農村交流も盛んで、農村景観の維持に農業委員会の耕作放棄地解消活動が一役買っている。
 同市農業委員会は、農地利用の最適化の推進が農業委員会の必須業務となる前から「耕作放棄地ゼロ宣言のまち」を当時の市の農林水産振興ビジョンに掲げ、「耕作放棄地を作らない、出さない」を合言葉に耕作放棄地の発生防止・解消に取り組んできた。耕作放棄地を再生し、菜の花やエゴマを作付けするなど継続した活動を行っている。
 同市農業委員会の活動に欠かせないのが女性の農業委員・推進委員だ。農業委員4人、推進委員3人の計7人が積極的に活動している。
 7月25日の農地パトロールの出発式は、女性農業委員の発案でそろえた黄緑色のポロシャツをユニホームとして農業委員・推進委員、農業委員会事務局職員が着用して行われた。農地パトロールはもちろん、農家訪問や視察研修にも着用し、農業委員会活動の見える化につなげていく。

 総会や農地利用の最適化を推進する話し合いの場では、女性委員からの報告や発言も活発だ。「男女の区別なく『同志』として同じ目線で活動ができている。発言を引き出してくれるなど、意見を出しやすい雰囲気があり、活動がしやすい」と女性委員らは話す。
 また「推進委員にも女性が登用されたことで活動がしやすくなった」といった声が上がるなど、女性委員の登用が農地の耕作放棄地解消などに大きく寄与している。
 千葉会長は「農業委員・推進委員が一体となり、関係機関・団体と連携して遊休農地の解消、担い手の育成・確保に取り組んでいかなければならない。課題は多いが、農業の健全な発展のために活動していきたい」と話す。そして最後に「農業委員会は『かかぁ天下』がいい」とほほ笑み、女性の農業委員・推進委員の活動に期待を寄せる。

写真説明=女性委員の発案でそろえたユニホームを着用して農地パトロールの出発式が行われた