活動を積極的に周知 “見える化”を実現 富山 砺波市農業委員会

 富山県の西部に位置する砺波市は、全国的に有名な種もみやチューリップ、この10年で作付面積が飛躍的に拡大したタマネギなど、農業が盛んだ。砺波市農業委員会(横山敬一会長)では、農業者向けの冊子や報道などで、農業委員会を積極的に市民に周知している。

 農業者と農業委員会との接点は、農地の権利移動や農振除外、農業者年金制度、農地の賃借料および農作業料金など多岐にわたるが、これらについて手続きなどをまとめたのが、「農家相談のしおり」という16ページの冊子だ。
 冊子は40年以上前から毎年発行。現在は、農業者や農地所有適格法人、農業委員・農地利用最適化推進委員などの関係者を対象に約6千部発行されている。
 農業関係の法改正があれば翌年度版で取り上げ、2016年度版では、農業委員会法と農地法の改正点について説明した。
 冊子は、農業者が農業委員会に相談する際や農業委員会の研修会で参照することが多く、農業者や委員にとって欠かせないアイテムとなっている。

 同市では、毎年春と秋に農地パトロールを実施しており、面積が大きい転用予定の農地や復元できる可能性が大きい耕作放棄地を重点的に見て回る。
 パトロールを周知する手段といえばステッカーなどがあるが、同市では、事前に新聞社やテレビ局にパトロールに関する情報を投げ込み、実際に取り上げられている。報道で見聞きした農業者からは、「耕作できないので草刈りを頼みたい」「耕作できる方を紹介してほしい」などの声が寄せられるという。
 一般市民が市の農業に直接触れる機会も周知に活用している。毎年秋に市内のJA本店で開かれる「農業まつり」では、農業委員会を紹介する模造紙やパトロールの写真などを展示するほか、農地転用などのチラシも配布している。
 横山会長は、冊子について「各種制度が分かりやすく説明されているだけでなく、推進委員の担当地区も掲載されていて使い勝手が良い」と話す。また、市街化している地域で耕作放棄地が点在するようになったことを受け、本年度、農業委員会として耕作放棄地で作物を植栽することを計画しているが、このような活動を通じて、農業委員会をさらに「見える化」していきたいと抱負を語る。

写真上=過去5年間に発行された「農家相談のしおり」

写真下=農業まつりで農業委員会活動をPR