各地区の委員 特色ある活動 埼玉・小川町農業委員会 農地利用最適化推進委員 内野 幸一さん
埼玉県の中央部に位置する小川町。かつては紙(和紙)の生産が盛んで、紙屋と兼業する農業者が多かった。近年は高齢化が進み、遊休農地の発生など問題を抱えていたが、新規就農者も増え、有機農業が盛んに行われている。「おがわ型農業」を掲げ、有機栽培をはじめとした農産物のブランド化にも本腰を入れている。地区ごとに地形などの環境が大きく異なることから、小川町農業委員会(根岸徹会長)では各地区の農業委員・農地利用最適化推進委員が特色のある活動を展開している。
推進委員の内野幸一さん(64)は「小川町の農業を後世へつなげていきたい」との思いで、担い手、特に新規就農者への農地のあっせんや、農地の利用状況の確認に力を注いでいる。
未利用農地を「どのように活用するのか」を考えていくのが一番大事と話す内野さん。同町は山間部も多いことから、平地から傾斜地までさまざまな条件の農地が点在している。このような状況下で、日々新規就農者をはじめとする担い手の相談を聞き、作目や面積など条件に合った農地があれば、そのあっせんに乗り出す。
内野さんの担当する小川地区は、かつて製紙業が盛んに行われていた地区で、現在もその多くが兼業農家。また、市街化区域が多く、農地が点在している。
「小面積の農地でも必要としてくれる担い手は必ずいる」と話す内野さん。昨年10月には、新規就農者からの相談を受け、希望する作目に適する未利用農地の地権者を紹介。結果として担い手が2筆(約20アール)の農地を借り受けることができた。
また、町の職員として働いていた頃の知識と経験を生かし、担い手への集積を進める。町に対し、農業機械の進入が困難な道路の整備を呼びかけたのは、内野さんならではだ。
「新規就農者は最初の相談相手を見つけるのに一番苦労する。地域の相談役として前線に立っていくのが推進委員としての役目」と思いを語る内野さん。今後も相談活動や農地のあっせんに取り組みながら、町全体を通した農業振興につながる活動の仕組み作りができればと話す。
写真上=農地の活用を常に考える内野さん
写真下=内野さんの紹介で担い手が借り受けた農地