農地利用の最適化を強化 両委員で地区委員会設置 三重 菰野町農業委員会


三重県の北西部に位置する菰野町は、約2060ヘクタールの農用地面積のうち9割の農地が基盤整備され、地域ぐるみで効率的な水田活用が行われるとともに、担い手への農地集積が進みつつある。その半面、総農家数の減少や後継者不足などにより地域農業の維持管理が困難となりつつある。昨年7月に新体制へ移行した菰野町農業委員会(松岡良成会長)は、これら農村現場の課題に細かく対応できるよう農業委員と農地利用最適化推進委員による地区委員会を設置し、地域に密着した農地利用最適化の推進に向けた活動を展開している。
同町農業委員会の体制は、農業委員19人と推進委員17人。新体制移行時に地区委員会を設置することを決定した。地区委員会は、同町の人・農地プラン設定地区と同じ5地区とし、該当地区の農業委員と推進委員が委員となっている。
地区委員会は各地区委員会で選出された地区代表が中心となり、4月、8月、11月、2月の年4回、自主的に開かれる。
地区委員会で話し合う課題は多岐にわたる。耕作放棄地の現状など情報の共有をはじめ、農業者の高齢化などで耕作困難となりそうな農地があれば、周辺の担い手農業者へ照会し、マッチング活動も行っている。
各委員会で話し合われた内容は、後日、事務局に報告され、利用権設定など法的手続きが必要な場合は、事務局が行う。
同町の担い手への農地集積率60%と遊休農地率0.7%の実績は、これら委員会活動によるところも大きい。
また、農地転用の申請があれば、事前に農業委員と推進委員による現地調査も実施している。総会での現地調査と併せ、二重のチェック体制で、適正な農地法執行に努めている。
農業委員会事務局では「現場の細かな情報は地域の各委員が一番詳しい。町全体ではカバー仕切れない課題に対応できる地区委員会はうまく機能している。新体制移行後1年がたち、これからは各委員のスキルアップを図りつつ、地区委員会機能を活用した担い手の育成と農地の集積、耕作放棄地の解消に取り組んでいきたい」と話している。
写真上=地区委員会設置を決定した第1回総会
写真下=松岡会長