農地利用の最適化最前線(5) 五つの農地利用最適化区域部会 秋田市農業委員会

秋田市農業委員会(佐々木吉秋会長)は、市内5区域に「農地利用最適化区域部会」を設置。農業委員(19人)と農地利用最適化推進委員(29人)全員が参加し、地域に密着した活動を展開している。
各部会は、早朝の草刈りや夕方の農作業後、コンビニの駐車場や集会所に集まって毎月部会を開催。部会長である農業委員が毎月定例の農業委員会総会で報告し、全員で情報を共有している。個々の活動内容は活動記録簿にまとめ、写しを事務局に提出する。
同農業委員会は、昨年7月20日に新体制に移行した。農業委員は32人から減少したものの、認定農業者16人など1人を除いて農業者で、推進委員も全員農業者。平均年齢63歳と、地域の中核を担う頼りになる世代がそろっている。
同市の農業は稲作主体で、経営規模が比較的小さい。認定農業者などの担い手は、全農家数の2割の約650経営体だが、担い手への農地利用集積率は36%と高くない。遊休農地は0.29%と少ないが、高齢化で今後増加が懸念されるため、新体制の発足を機に区域部会で日常活動を強化し、担い手の確保・育成と農地利用の集積を進めている。
その手段として導入したのが、GPS(人工衛星を利用した位置情報システム)機能と地図情報を搭載したタブレット端末だ。推進委員全員が日常携行して農地の状況などを確認する。以前は農地パトロールの際に現場で大きな地図を開いて確認し、事務局に戻って書き入れていたが、地図情報と現状を照らし合わせ、変化や気付いた点などをメモ機能で記録として残せるようになった。
農地利用集積では、県農業会議が主導して全農業委員会で取り組んでいる「あきた農地利用最適化推進1・2・3運動」((1)「人・農地プラン」の確認と農家の意向把握(2)プランの見直し(3)農地中間管理機構との連携強化)を一足早く前年度から開始。市内に38あるプランを全て洗い直し、農地基盤整備と合わせて担い手に集積する計画だ。
ある推進委員は、就任あいさつを兼ねて全農家を訪問してアンケートを採ったことで相談が増えたり、別の委員は遊休農地を解消するため農家に呼びかけて圃場を整備するなど、着実に成果が表れている。
農業委員会事務局の佐藤きよ子参事は「区域部会で農業委員と推進委員の連携が密になり、車の両輪として地域の農地・農業を守ってもらえる体制ができた」と話す。
写真説明=タブレットを手に農地パトロールをする農地利用最適化推進委員と農業委員