設立5法人重視し持続可能な農業へ 山形・遊佐町農業委員会
遊佐町農業委員会(佐藤充会長)は農地中間管理事業を活用し、町内で設立された五つの法人に向けた農地の集積・集約に力を入れている。遊佐町の集積率は71%となっており、法人化の導入で持続可能な農業を実現するため、JAや関係機関と連携し、一丸となって取り組んでいる。
同町は山形県の最北部にある人口約1万4千人の町で、水稲を主とする農業が基幹産業。日本海・鳥海山からの海・山の幸にも恵まれ、四季を通して自然豊かな地域だ。
2015年度と2016年度に農地中間管理事業の活用を念頭に、JA庄内みどりによる指導のもと、町内で五つの農事組合法人が設立された。遊佐町の利用集積面積2813ヘクタールのうち、1178ヘクタールが新しく設立された法人に集積・集約され、田の利用効率が飛躍的に高まった。
法人の役員には農業委員会の委員が中核として関わっており、今後も農地利用の最適化の原動力として期待されている。
高齢化や担い手不足が懸念される中、(1)農地をどのように守っていくか(2)担い手をどのように確保するか――という二つが課題。その課題を解決するためには、地域に密着し、信頼される法人の存在が重要な鍵を握る。法人はまだ設立されて2〜3年しかたっておらず、まずは農地の集積を着実に進めることが当面の課題となっている。
五つの法人はトップや役員同士、JAや農業委員会による情報交換も活発で、農地利用の最適化や農業経営の状況を共有している点も含めて、広域で包括的な対応が可能となっている。経営力を高め、農地を適切に利用する実績を作り、担い手の興味・関心を高めることで強化し、未来へと持続可能な農業経営ができる環境づくりを町単位で行っていることが注目される。
佐藤会長は「町内全域をカバーする五つの法人が設立されて2〜3年しかたっていない。法人の運営をいかに軌道に乗せていくかが現状の課題だが、今後に向けて法人内で定期的に協議検討している。農業委員会としては農地中間管理事業を活用し、まずはこの5法人を中心に担い手に集積したい。現在は担い手の耕作地にバラつきがあり、まとまりがない状況だが、JA・土地改良区などの関係機関とも相談しながら、効率化・経営基盤の安定のためにも集約化に取り組む必要がある」と話す。
写真説明=左から農業委員で(農)アグリ南西部代表理事の川俣義昭さん、佐藤会長、農業委員で(農)結いの里蕨岡代表理事の高橋正樹さん