農地利用の最適化最前線(7) 機構通じ4年間で436ヘクタール集積 茨城・笠間市農業委員会

茨城県の笠間市農業委員会(小幡耕一会長)が、特徴的な農地中間管理事業の推進と遊休農地発生防止活動に取り組んでいる。担い手への農地集積については、昨年度末までの4年間で436.3ヘクタールを農地中間管理機構(県農林公社)を活用し集積した。
同農業委員会は事業を効率的に進めるために、毎年7〜8地区をモデル地区として設定。重点的に事業活用を促していった。モデル地区では毎年5〜7月にかけて、市農業公社、市農政課、土地改良区などの関係機関と協力し、地区ごとに説明会を開催。農業委員と農地利用最適化推進委員は全ての会議に出席し、説明、助言をしている。
説明会は各地区4回程度実施。1回目は地区代表に事業を説明。2回目は担い手への事業説明と今後の方針を話し合う。3回目は地権者に事業説明と着手する旨了解をとる。4回目に再度担い手を集める。4回目には、現在、賃借契約がある農地の合意解約書と利用権設定申出書をセットで用意し、担い手に地権者の署名をもらいに回るようお願いすることで、スムーズな機構への集積につなげている。実際、34枚の申出書を持って回った担い手もいたという。
小幡会長(65)は「担い手や地権者に機構を利用するメリットを粘り強く説明したことで、集積に結びついた」と話す。今年は15地区で計54回の説明会を開催。モデル地区の取り組みは翌年以降も地域に波及している。
毎年7〜8月にかけ農地パトロールを実施。同市は山間地から平場まで起伏に富んだ13地区に分かれる。推進委員と農業委員で、3〜4人のチームを作る。パトロール実施前には、市の回覧板を活用し、パトロールの予定を全住民に知らせている。事前に知らせることで所有者にも緊張感を持ってもらえるため、遊休化の抑止力になっている。
2017年からは各地区で1台ずつタブレットを導入。約6千ヘクタール(約5万4千筆)の利用状況と利用意向がデータとして入っている。タブレットの操作を簡略化し、現地では一筆につきボタンを3回押せば調査を終了することができるようにした。これにより4人の職員で約4カ月残業し、遊休農地の地図作成と結果を農地台帳へ落とし込んでいた事務量が10分の1以下となった。また、約1カ月半かかっていたパトロールの日数は約2週間程度に短縮された。タブレットにはGPS機能が搭載されており、位置関係が正確に確認できることから、調査の精度もあがった。
情報提供活動にも力を入れる。農業委員会だよりには機構を使って貸借した人の声を掲載。実体験が載っていて分かりやすいと評判だ。
小幡会長は「今後も地区ごとに話し合いの場を持ち、集積につなげていきたい」と力強く話す。
写真説明=チームを組んで農地パトロールを実施。右端が小幡会長