農地利用の最適化へ 市・農協と連携 神奈川・鎌倉市農業委員会
鎌倉市農業委員会(安齊清一会長)は、市やさがみ農業協同組合と鎌倉市遊休農地解消対策協議会を組織し、農地利用の最適化に取り組んでいる。さらに地元企業などと連携して遊休農地を解消し、農地の有効活用を進めている。
同農業委員会は2018年4月、「鎌倉市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針」を定めた。この中で、遊休農地の解消活動については現状8.4ヘクタールから、2023年までに市内農業振興地域内の遊休農地面積の半数である1.5ヘクタールを解消し、6.9ヘクタールに減少させることを目標とした。目標の設定に当たっては、2011年から6年間で約2ヘクタールの遊休農地を解消した実績を参考としている。このうち、0.5ヘクタールは同協議会の活動によるものだ。
鎌倉市は市内の3分の2が宅地であり、農地の割合は市域の約2.6%の102ヘクタールと少ないが、消費地と生産地が近接した都市農業として発展してきた。その一方で都市化による農地の細分化や農家の高齢化などによる遊休農地の増加が課題となっていたことから、遊休農地の復元と有効活用に向け、2005年に同協議会を設置した。
復元した農地は野菜栽培に活用し、地域の小学生らを対象に農業体験として芋掘りを行っているほか、収穫した野菜を市内小学校の学校給食の食材として提供するなど、地産地消と食農教育にも役立てている。さらに、その後は土地所有者による耕作再開や利用集積計画による他の農家への貸借につなげて、遊休農地の再発を防止している。
2013年からは地元企業である三菱電機(株)と「鎌倉市遊休農地解消対策実践活動協定」を結び、同社と連携した農地復元作業を開始した。同社では地球環境保護活動の一環として里山保全活動に取り組んでおり、農地復元作業への協力もその一つとして行われている。
昨年度は同協議会員と同社の社員とその家族らが協力し、約20アールの農地の復元作業を行った。同社が農地復元作業に加わったことにより、再生面積の増加につながっている。
写真上=復元した農地は野菜栽培に活用
写真下=三菱電機が農地復元作業に加わり、再生面積が増加した