農年加入を強化 目標達成度合い全国2位 和歌山・紀の川市農業委員会

 紀の川市は県の北部に位置し、温暖な気候を生かした果樹、とりわけハッサクやイチジク、モモなどの栽培が盛んな「フルーツ王国」として知られている。紀の川市農業委員会(西川泰弘会長・農業委員16人、農地利用最適化推進委員34人)では、担い手支援施策の一環として、農業者年金の加入推進を意欲的に実施している。昨年度の加入目標は7人で、加入者数は15人。これは目標達成度合い(39歳以下新規加入目標数5人から9人)部門の全国2位の実績だ。

 同委員会は2016年4月に新体制へ移行して以来、定例総会の開催に先立ち、「推進委員会」を毎月開いている。これは、合併前の旧町単位の5地区に分かれて、担当地区の農業委員、推進委員らが参加して行われる。定例総会で協議する議案の事前打ち合わせや、農地制度の勉強会など、地域の実情に即した農地利用最適化の取り組みを強化するのが目的だ。
 この推進委員会で、若手や女性など、農業者年金加入推進の対象者となる農家情報を出席者が共有。対象を明確にした上で、委員、事務局が意欲的な声掛けを行ったことが、加入者数の増加につながった。
 また、同委員会は農業者年金制度の周知徹底を目指し、各種啓発を実施している。県農業会議と連携し、毎年11月に開かれる同市産業まつりでは「農業者年金相談コーナー」を設置。来場者に対して、制度についての質疑対応やパンフレットの配布、啓発のアンケートを実施し、加入の見込みがある農家に対しては、後日戸別訪問などを行っている。これがきっかけとなり、昨年は隣接する市の農業者にも加入者が出るなど、近隣市町村にも好影響を与えている。
 また、例年受給を目前に控えた待機者への相談会を開催。相談に訪れた農家へ改めて新制度の説明や、後継者や家族などの加入意思について、声掛けしている。
 吉川博造事務局長は「説明会をきっかけに、息子を加入させる方もいらっしゃいます。受給を控えている方だからこそ、制度のありがたみを後継者に伝えてもらいやすいです」と話す。
 今後の加入推進について、西川会長は「農地の担い手をどう育成するかは、将来の地域農業を考える上で避けて通れません。これからも加入推進に意欲的に取り組み、若い担い手世代への支援を行っていきたいです」と抱負を語った。

写真上=例年、産業まつりで啓発している

写真下=全国2位の実績を上げ表彰される西川会長(右)