最適化へ積極的に活動 三重・松阪市農業委員会

 昨年7月に新体制へ移行した松阪市農業委員会(野呂政夫会長)では、農業委員19人、農地利用最適化推進委員36人の体制で、担い手の育成と農地の集積、耕作放棄地の解消など、農地利用の最適化推進に向けた活動を展開している。

 三重県のほぼ中央に位置する松阪市は、平野部から中山間地域まで約7680ヘクタールの農地で稲作を中心に茶や野菜など多様な農業が展開されている。平野部の優良農地では担い手農家が育ってきているが、中山間地域では担い手育成が大きな課題となっており、高齢化などに伴う耕作放棄地の拡大も深刻化してきている。
 同市農業委員会が新体制移行時に取り組んだのは農業委員と推進委員による班の編成だ。11の班に分け、新任委員に対して農業委員経験者から今まで培った知識を伝えるとともに、両委員の連携と情報の共有を強化し、各地域の課題に対して一丸となって取り組める体制を構築した。
 また、両委員による合同会議を年3回開き、合同会議終了後は各班に分かれ、地域の状況や課題とその対応策などを協議している。特に、農地パトロール実施後の合同会議では、耕作放棄地の情報を地図化し、各班で情報を共有するとともに、受け手の見込みなどを協議し、解消に取り組んでいる。
 今年1月には、農地所有者の意向を確認するため、市内在住の農業者約8千人に農地利用に関するアンケート調査を実施した。アンケートでは、貸し付け希望の有無や貸したい農地の所在地などについて回答を求め、貸し付け希望と回答のあった農地所有者に対し、該当地区の農業委員と推進委員が戸別訪問し、担い手とマッチングしている。
 また、事務局体制の強化に向け、農業委員会の会長を含む6人の農業委員と3人の推進委員を構成員とした運営委員会も設置した。農業委員は会長と職務代理者3人以外に選任委員3人、推進委員は代表幹事1人と幹事2人をそれぞれ総会で選出した。
 運営委員会では、各種方針や業務推進について協議するなど、委員会業務全体のかじ取り役を担っている。
 野呂会長は「新体制移行2年目となる本年度は、各委員のスキルアップを図るとともに、両委員の連携をより強め、遊休農地対策など、農地利用の最適化に向けた取り組みを一層進めていきたい」と話している。

写真(上)=左から金谷一也事務局長、野呂会長、松浦武治推進委員代表幹事

写真(中)=総会であいさつする野呂会長

写真(下)=会議終了後に11班に分かれ、地域の状況や課題・対応策などを協議した