タブレット導入 農地パト効率化 兵庫・上郡町農業委員会
上郡町農業委員会(三浦剛介会長)は遊休農地ゼロを目指して活動している。2016年4月1日に新体制に移行し、農業委員10人、農地利用最適化推進委員は7人。同年にタブレット端末を導入し、効率的に農地パトロールを進めている。
同町は町域が約1万5026ヘクタールで、農地面積は約906ヘクタール。農地パトロールは町内を5地区に分け、委員と事務局、町農業担当部局職員ら8人程度でパトロール班を編成して実施している。他地区の状況も知ってもらいたいということと、町内の遊休農地の判定基準を合わせるために、各班には必ず他地区の委員1人を入れている。
2015年12月時点では遊休農地が3.7ヘクタールだったが、日頃から委員による草刈り指導や遊休農地判定後の速やかな改善指導の結果、2018年度の遊休農地は21筆、2.1ヘクタールに減少。一度遊休農地として指導した農地が再び遊休化したところはないという。
農地パトロールを効率的に実施するため、2016年度からタブレット端末を2台導入した。
1台は税務課から貸与されたもので「地番現況図」のデータが入っており、航空写真と地番図の確認ができる。もう1台は農業委員会が所持しているもので、農地台帳のデータを入れている。
現地での検索時間短縮のため、パトロール前にフィルターをかけて該当地区の必要な項目だけのデータにして持ち運ぶ。
従来は、A3サイズの地番現況図を印刷した白地図を使用していたが、1地区当たりでも100枚程度あったといい、タブレットにすることで現在地を確認するスピードが格段に速くなり、また、持ち運びも楽になったという。
農地台帳データでは地目や転用の履歴を確認できるため、今後、指導が必要な農地かそうでない農地なのかがその場で判断できるようになった。
パトロール後に事務所に戻り、所有者の生存や相続関係だけを確認すれば良いので、その日のうちに委員に伝達でき、委員も速やかに所有者に連絡・指導を実施することから、1カ月後に開く報告会までに解消しているケースも多い。
今年も既に0.58ヘクタールを解消しており、現在、遊休農地として残っている多くは所有者が死亡していたり、未相続で所有者が分からない農地が多く、遊休農地ゼロを目指す上でこれらの解消が課題となっている。
写真(上)=タブレットの地番現況図(左)と紙の地番現況図
写真(下)=事務局がタブレットを操作し、地目や転用履歴を確認する